第4章 社会人場地さん×長編年上ヒロイン
「同窓会?」
「うん。高校のときのね」
手元にあるハガキを圭介に手渡せば、しげしげとそれはもういぶかしげな表情でそれを見つめている。言葉には出していないが「え、行くの?」とでも言いたげな顔をしてハガキと私を交互に見比べる圭介に思わず苦笑いを浮かべながら、こういうところは子どもっぽくて可愛いんだよなあ。
「高校のときの友だちが一人で行くの嫌だから私にも来てほしいって言ってて」
「んで? 行くの?」
「そのつもり」
「……どうしてもっつーなら止めねけどよォ。てか止めても素直に聞くような女じゃねーし、ちゃん」
「あら、よくわかってるわねー」
ふふん。と、どや顔しながら笑う私を見て大きな大きなため息をついた圭介は、彼の飼い猫であるヨンフォアと遊んでいた手を止め、私が座っていたソファへと腰を下ろした。人一人分の体重が増えて沈むソファの感触を感じながら隣を見上げると、明らかに納得していなさそうな圭介が唇を尖らせている。
可愛いーなんて思いながら人差し指でイタズラにその唇をつついていると、かぷりと甘噛みされてしまった。なんだか大きな野良猫と戯れている気分ね。
「それ、男も来んだろ?」
「そりゃー同窓会だからね」
「……そん頃の元カレとかいる? そいつらとかも来んの?」
「多分?」
「大丈夫なのかよ」
「大丈夫でしょ! いい年齢だからほとんど結婚してるだろうし。それに前の元カレが頭おかしかっただけで、そんなヤバい人ばっかと付き合ってないわよ」
「……」
「そんな明らかに信用していない目で見ないでくれる?」
俺には全部わかってるぜ、とでも言いたげな視線を寄越すな。そんな哀れむんじゃない。
全くもって失礼極まりない圭介の頭に軽くチョップをかますも「ハァ」と不満そうな声を漏らすばかり。何よ何よ、どうせ私は男を見る目がないわよ。ふん、とそっぽを向けば私の顎をガッと掴んだ圭介によってほぼ無理矢理彼の方へと顔を向けさせられてしまった。