• テキストサイズ

二人の航海者

第9章 船出と希望


「ククク……!!さっすが軍師サマに龍水にゲン、やるじゃねーか!お陰で俺までこのポーズやる羽目になったぞ〜??」
ラストに右手を上げる千空。

「これ、お別れの挨拶にいいかもしれませんね…!」
「なんやええなあ。こういうの…!」
「みんな!ぜっったい帰って来てよね!!」
ルリ、未来、南達残留組も叫ぶ。それを頼もしそうに蒼音が見た。

「ハハ、こんなの私は科学学園で教えたつもりはないがな!?だがまあ仕方ない!!せーので私たちが《行ってらっしゃい》、次に船出組は《行ってきます》で返して、その後一緒に指鳴らしだ!皆!!準備はいいか!?!!」
直ぐに意図を察して纏めあげる軍師に皆が頷く。

「では行くぞ!!……せーの!!!」
「行ってらっしゃい!!!」
「行ってきます!!!!」
バッシィィイン!!!と。上手く鳴らせない人も、玄人の龍水も、龍水に倣って練習した蒼音も。全ての人が、指鳴らしする。

「蒼音!!」
言い残した、と龍水が叫ぶ。
「なんだ龍水。行くなら早くしろ!ぐずぐずするな、結婚を遅らす気か!?」
「そんなもの、速攻で帰るに決まってる!——ありがとう、蒼音。貴様が……俺は、世界でいちばん好きだ……!!」
礼を述べる龍水に、蒼音は笑った。

「いや。これくらい、どうって事無いさ」
船が、海に漕ぎ出す。
「頑張ってねー!!」
「気ぃつけてな〜!!頼むわ、兄さんのためにもーー!」
皆が叫ぶ中。蒼音は、残る面々の顔を見た。あのスイカ仮面の少女の不在を確認し、無事に二つのミッションを完遂した事を悟る。海原を往く船に向けて、囁いた。
「龍水。私も、君が好きだ。行ってらっしゃい」
/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp