第9章 船出と希望
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「はっはーーー!!!!!!」
「あーー龍水。喜ぶ気持ちは分かるが、うるせーぞさっきから」
宝島へ向けて意気揚々と航海する中。龍水はもうテンションMAX値に達したどころかぶち破り、大声を出しつつ操縦していた。そんな中、そういえばと羽京が零した。
「蒼音があのクイズの前に、『作戦結構だ。行くぞ。私に続け』って言ってたんだけど」
羽京の言葉に、その場に居た皆が頭上に『???』を浮かべた。
「えーと?作戦だけならまだあの告白の事かな〜って思うけど。『私に続け』の辺りが気になるね〜、ジーマーで」
メンタリスト・ゲンが皆の疑問を代弁する。
「うん。まるで、他の誰かと手を組んでる様な発言だったけど、特にそんな風には……まさか」
羽京がハッ、と気付く。同時にクロムがんん?と疑問点を零した。
「そーいや、あのクッソ盛大な見送りの場で、スイカが叫んでなかったよな…?」
確かにそうだ。彼女ならあの場に居れば、『みんな頑張って行って来るんだよー!』等と大声で叫んでいそうだが……まさか。
「ククク、軍師サマの悪巧みってとこかー?おーし!!手の空いたパワーチームで探せ!!」
全力で皆に名前を叫び探される中。
「あわわわ、見つかっちゃったんだよ…!でも蒼音のお墨付きだから、だ、大丈夫なんだよ…!」
自ら龍水達の前に姿を現すスイカに、『やっぱりかー』という空気になる皆。
「スイカ、貴様密航者だな!?まだ間に合う、密航者は出航地へ強制送還だ!蒼音も叱らねばな!!今すぐ日本に」
「ご、ごめんなさいなんだよ龍水!でも蒼音は悪くないんだよ。スイカの事応援して手伝ってくれたのに、背中を押してもらったって、スイカはお役に立てるって言ってたんだよ…!やり残した事があるって言ってたから、蒼音の分もお手伝いしたいんだよ…!!」
泣きながら叫ぶスイカの言葉に、ああ恐らくそのやり残したのは先程の告白で。その告白で皆の気を逸らしスイカも乗せたんだろうと皆が察する中。龍水がギュルン!!とスイカから顔を逸らした。