第9章 船出と希望
天才軍師のお墨付き。これ以上力強いものは無い。パァァとスイカが瞳を輝かせた。それは向日葵の様な眩しさ。
「分かったんだよ!ありがとうなんだよ、蒼音!!蒼音の気持ちの分も持ってって、絶対絶対お役に立つんだよ!」
「こちらこそ。お陰で背中を押して貰ったからね」
二人はこっそりと同盟を結び。夜も遅いので、蒼音はスイカと共に布団で眠ったのだった。
******
翌朝、快晴である。絶好の船出日和に、皆が歓喜しながら最後の集合写真を撮った。
「蒼音!貴様はこっちだ!」
「ハイハイ」
仲睦まじく隣で映る二人を周囲が見守った。シャッターが切られ、いよいよ乗船。龍水が船に乗り込むと、独断で決めたという乗船メンバーを読み上げる。パワーチームが呼ばれてないのに乗り込むのでもう皆笑うしかない。名前を呼ぶ前に乗らなかった残りの面々も呼び——
「最後にゲン!貴様もだ!!」
ジーマーでー!?と驚きつつ乗り込むゲン。
【最後に】と龍水は言った。
「蒼音、大丈夫ですか」
横に控えていた、同じく残留組であるルリがその心中を推し量る。いつも堂々と振る舞う格好良く力強い蒼音が、俯いたまま船出組の皆と視線を合わせない。少し先の足元を見て腕組みしている。船出組と船出組の視線が蒼音に集まるのは必然だった。
たっぷりとタメにタメてから、ふっ……と蒼音が口元を歪ませ笑った。ぽそり、と普通の人なら聴こえない小声で呟く。唯一船上にいた羽京だけが、その声を拾った。
「作戦決行だ。行くぞ。私に続け」
作戦?何の?誰が続く?
羽京が訳が分からないという顔をする中、キッ!と蒼音が龍水の顔を見上げた。
「龍水。クイズだ!君、私が石化した時に何と言ってどんなポーズをしたか分かるか!?」
突然のクイズ。しかも蒼音の石化の瞬間。何故ここで?完全に皆が呆然としつつ蒼音に釘付けの中、パチィン!!と蒼音が指鳴らしした。GOサインの合図である。その隙に、緑の丸いモノがが甲板へと続く連結デッキを駆け上がる。龍水はぽかーんとしたままだ。