第3章 北の海と潜入
いくら兄弟と言ってもそんな事あり得るのだろうか。
潜入捜査に気付いていてあえて招き入れたのでは無いかとすら思える。
海賊が情など持ち合わせているワケがない。
やつらは汚くてずる賢いのだ。
情けを踏み躙られて散っていった海兵を何人も見てきた。
自身だって何度も痛い目を見ている。
「すまない…だが理解してくれ。これはロシナンテからの頼みでもあるのだ。」
「…ロシナンテから連絡はあるんですか?」
「定期的にある。」
「…分かりました。また改めて本部に行った時に話しましょう。なにかあれば言ってください。」
ドンキホーテ・ドフラミンゴが何を考えているのか不明な点が多すぎる。海賊を名乗るヤツにまともな人間は居ないはずなのに、弟が14年ぶりに帰ってきて迎え入れるなんてそんなの情弱な人間のする事だ。
「痛い…」
所詮血の繋がりがある家族が居ない私には理解できない事なのだろうか。
マイナスの方に思考が落ちていくと、糸玉で撃ち抜かれた右肩がズキズキと脈打つように痛みが広がっていく。
ズルズルと椅子からずり落ちて座る。
私には理解できない。
「だから、理由も話してくれなかったのかな…」
結局私はロシナンテ本人からは何も聞かされていない。
家族だと思っていたのは私だけ…だったの?
こんな時こそタバコと酒に逃げれば良いのに、気分は落ち込むばかりで何も手につけることは出来なかった。
それから自分なりにドンキホーテファミリーを調べてみた…それはもう悪名高い有名になりつつある海賊団だったようだ。
船長をはじめ幹部の殆どが悪魔の実の能力者であり、それぞれが相当の実力者であるらしかった。
どこぞの町を潰したとか、どこぞの海賊団を潰したとか。
どうやら話題が尽きない海賊団らしかった。
は未だにどうしたらいいのか決めかねていた。
ドンキホーテ海賊団を潰したい。
海賊は憎い。
それも死ぬほど嫌いだ
そこにロシナンテが潜入しているなら尚更潰して早く解放してあげたい。
だが情けない話今の自分がドンキホーテ海賊団の船長に敵うか自信がない
一対一ならどうか。
やれるかもしれない。
けれど流石に厳しいと思い直す。
そんななか、センゴクさんから本部への一時帰還命令が下った。