第3章 北の海と潜入
北の海を離れ、久しぶりの本部に戻るとセンゴクさんが迎えてくれた。
「久しぶりだな!大きくなったか?」
「ふふ、変わりませんよ。」
「この前肩を怪我したと連絡があったが…」
「治ってますよ、そんなの。」
肩は治っているわけはなかった、つい何日か前の出来事なのだから…でも心配させたくなくて笑った。
暫く会っていなかったので忘れかけていたが、本当に父親らしい人だと思う。
ついこの前まで血の繋がりを考えていたけれど、センゴクさんに対してそんな事を思ったことはなかったなと気付く。
血の繋がりはないけれど、私やロシナンテを心配してくれて、危険な時は守ってくれて道が逸れそうな時は叱って導いてくれた。
父親とはどんなものか想像もつかなかったけれど、センゴクさんこそが父親らしい父親なのかもしれない。
「そうか。良かった。この間話したが正式に昇進が決まった。おめでとう。中佐になるぞ」
少し複雑ではあった。
ここに今は居ないがロシナンテは中佐だ。
競い合うように昇進していった。
いつしか、ロシナンテを追う形になりついに彼が潜入捜査している間に並んでしまった。
「…追いついちゃったな…」
「ロシナンテか…」
「元気にしてます?私には相変わらず連絡の一つもありませんよ」
「アイツなりの意地があるんだろ。わかってやってくれ」
「…さっさと抜かしてやりますよ。」
私に相変わらず事情を説明しないのは彼なりの意地らしい。
そもそも北の海の支部でロシナンテをフォローする云々はセンゴクさんが無理言って通したらしい。
もし何かあってもすぐに駆けつけられるように…心配性なセンゴクさんらしいなと思う。
「いつまで潜入してるつもりなんですかね。」
「まだ掛かるとは言っていた。」
「そうですか…」
その後、正式に昇進を受け中佐になったは暫く本部での仕事をしていた。
ロシナンテが戻る頃には准将までなりたいな、なんて考えながら。
北の海へ戻ったのは暫くしてからだった。