第3章 北の海と潜入
次の問題は、家族だ。
センゴクさんに結婚前の女が朝帰りなどした事がバレたら何で言われるのだろうか、怒られる予感しかしないし。
なんなら恥ずかしい。
ロシナンテも何を言ってくるか分かったもんじゃない。
日付が変わる前には帰ってこいよって釘刺されてたのに…あぁ見えて頭ガチガチの融通の効かない真面目くんなのだ。
このまま何もなかったかのように海軍へ出勤しようか。
いや、朝ごはんはそろって食べるのが決まりだ。
それこそ怒られる。
逆ギレする?
こんなんみんなやってるわ!って。
なにが正解かわからないまま、とりあえず荷物をまとめて家に帰ることにした。
とりあえず、謝ってなにもなかったはずですごめんなさいしておこ。
頭固いけど信じてくれるでしょ。きっと。
「ただいま〜……よし」
静かに玄関を開けると家の中の電気は全て消えていた。
ということは寝ているのだろうと結論づけほっとする。
「なぁにが、よし。だ!」
「ぎゃ!!!」
「しっ!センゴクさんが起きるだろ!」
暗闇の中から声をかけられ心臓が痛い程飛び跳ねたがすぐに悲鳴は手で押さえられた。
ロシナンテだった。
「【サイレント】。こんな時間までなにしてたんだ!!!」
ロシナンテが指を鳴らすと防音壁で周りを覆われすぐに大きな声で怒られた。
この男はいつだか食べた悪魔の実の能力で指を鳴らすだけで周りに防音壁を張れるのだ。
怒られて咄嗟にロシナンテの顔を伺うと顔もそれなりに怒っているようだった。
「う…」
「言えないような事してたんじゃないだろうな!?」
「いやいや、するわけないじゃん。えーっと、」
「おれもセンゴクさんも遅くまで待ってたんだからな!」
「タイヘンモウシワケアリマセン…」
あまりの剣幕にあたまが回らず謝るしかない。
「えっと。気がついたら宿で寝てました。」
「はぁ!?おまっ」
「待って!勘違いしないで。ひとりでだから、誰かとじゃなくて」
過保護なこのロシナンテは何を想像したのか、顔を真っ赤にしている。