第3章 北の海と潜入
としても飲み会なのだから楽な服の方がいいと思った。
さて、これで終わりにして私も仕事しよう。
タバコの吸殻をギュッと灰皿に押付けてデスクに向き直った。
翌日送別会とは名ばかりの飲み会が開催された。
育て親のセンゴクには程々になと釘をさされ心配されるが、ロシナンテとは会話が出来ていない。避けられているのだ。
しかし、飲み会前にロッカーで私服に着替え外に出るとバッタリとロシナンテと鉢合わせした。
「…その格好でいくのか?」
上から下まで服装チェックされ一言。
そんなに変だろうかと自分でも確認するが、別に変では無い…と思う。
デニムのショートパンツにキャミソール。季節的にもこんな感じが普通だろうと思う。
「これ着てけ。」
そう言ってロシナンテが何故か持っていた薄手のカーディガンを寄越してきた。
広げてみると、男物でロシナンテのサイズなものでには大きい。袖は余るだろうし丈はショートパンツよりある。
「え、無理。」
「だめだ。」
間を開けずに無理やり着せられた。強制だこんなの。
身長差を考えて欲しいとジトリと、睨むがロシナンテは何処吹く風だった。
北の海へいく理由を教えたくなくてから逃げているくせに、服ごときでわざわざ待っていたのだろうかとは首を傾げた。
「日付が変わる前には帰ってこいよ」
そう言ってロシナンテはさっさと帰ってしまった。
飲み会会場に行くとすでにみんな揃っていて、大いに盛り上がっていた。
少佐!私服かわいいです!なんて既に出来上がった部下がお世辞を述べてきたので、はいはいと窘める。
「(そんなに北に行く理由を話したくないのね)」
先程のロシナンテの様子を思い出していた。
服を着ろと自分のやりたい事だけをして、には喋る間も与えず去っていった。
ロシナンテのそんな態度にイライラする。
そんな精神状態ではちびちび酒を飲むという事も出来ずあっという間にジョッキ8杯目を突破した。
「少佐大丈夫でしょうか…」
「なんかカリカリしてるな、見た目はあんなに可愛らしいのに…」