第8章 見つめ直す過去
長い夢を見ていた。
「…コラさん…」
あの雪の島のあの出来事を何度も何度も夢を見る。
動かない手足勝手に動く指…
何度も何度も…
「はぁ…はぁ…」
目が覚めた。
夢だった…夢だ…あれはもう13年前…
それでも
「うぅ…」
泣かないと決めたのに。やっぱりダメだ。
ふと、自分が呼ばれている気がした。
「?…」
そういえばここは、王宮??
あの後どうしたんだっけ…
ヴィオラにとりあえずこっちに来なさいって言われて王宮に来たんだっけ。
ここにいるのもあまり良くないよな、とは思うものの実際に行き場所なんてなくて言われるまま着いてきたんだっけ。
「〜〜!!!!」
また呼ばれた気がした。
誰?
外かと思い、部屋から出て外に出る。
「居た!」
「麦わらさん?」
あちこちにぐるぐる包帯を巻いた麦わらのルフィがそこには居た。
ドフラミンゴと戦った彼は傷だらけだった。
それはなんだか痛々しくてでも同時に、彼が国中の人達の想いを背負って戦ってくれたんだなぁと、尊敬してしまう。
なんてまっすぐなんだろう。
「一緒に海に行こう!」
「え???」
「行こうぜ!」
少し唐突すぎでうまく理解が追いつかないが、彼はもしかして一緒に船に乗ろうと言ってくれているんだろうか。
「ここじゃなんだ、兵隊のところに戻ろう。つかまってろ」
そういうと、手や足をゴムのように伸ばして縦横無尽に街を抜けて行く。
すごい速さで、街の人が後ろに通り過ぎて行く。
「大丈夫か?」
「へ?あ、はい。びっくりしただけで…」
ちょっと強引かと思えば、気遣いもできる。
優しくて強いんだな。ルフィさん。
自分だって怪我してるのに、私を気遣ってる。
もしかして、この猛スピードの移動も実は加減された物なのかな…
気がつくと花がいっぱい咲いた丘の上についた。
「おれまだちょっと眠いから寝るけど、トラ男とちゃんと話してこいよ。知り合いなんだろ?」
「トラ…男…?」
一瞬誰かわからなかったけど…もしかしてトラファルガー・ローでトラ男?
「アイツ素直じゃねぇからな!あ!でもおれの船でも良いからな!」
そう言いながら家の中に先に入って行ってしまった。
すごいマイペースだ。
悪い気はしない。