第5章 決意と決別
ふと体の自由が効かなくなる。
自分の意思で動かなくなる。
「減らず口もそこまでだコラソン。そういえば、やたらとコラソンに懐いてる時期があったなぁ?」
ドフラミンゴは私に何かを握らせる。
なにかと見ると銃がそこにはあった。
「ドフィやめろ!」
自分の意思とは関係なく銃を構えてコラさんに向ける。
なにがどうなっているのか分からない。
ただただ怖くて体が震える。
「フフフッ。オレにだって引き金を引けないお前は。にだって引けないよな。」
「やだ、なにこれ。勝手に…」
「良かったなぁコラソン。可愛がってたに殺されて」
「やだ…」
「クソッ。目を閉じろ!何も聞くな!!!」
勝手に引き金に当ててある人差し指が動くと、腕から体にかけて衝撃と同時に銃声と火薬の匂いがあたりに充満する。
目を閉じる事はできなかった。
全部見てた。
銃口から打ち出された鉛玉はコラさんの左胸に当たり、雪の上に血を飛ばす。
その後も何回か引き金が引かれ、コラさんの体から血が飛び散る。
「やだぁぁぁぁ!!!!」
弾が尽きた事で、もう人差し指は動かない。
そして体から力が抜ける
私は腰が抜けてヘロヘロと力無く地面にへたり込む。
なにがあった?
なにをした??
私はいま何をした???
「フフフッフフッ。よくやった帰るぞ。」
私の目線に合わせてしゃがみ込み頭を撫でてくるドフラミンゴ。
コイツはだれ?
優しい言葉を吐くくせに。サングラスの奥の目は笑っていない事に今更気づくなんて。
私はなんて馬鹿だったんだろう。
コラさんに言われた時に、逃げれば良かった。
追いかけられても、お金がなくて飢えても
私が死ねば良かった
コラさんは顔は怖いくせに、笑顔が下手くそなくせに。
ずっとずっと優しかった。
偽物の優しさと
本物の優しさに触れて
コラさんかドフラミンゴのどちらが本物かなんてちょっと考えれば分かったはずなのに。
目の前で倒れる大好きな人に駆け寄る事もできず、私はドフラミンゴに引きずられる様に島を後にした。