第3章 10年の月日
部屋を出てすぐに、人影を見つけた
「!??」
幹部の1人ヴァイオレットだ。
顔が強張る、
私はこの人がとてつもなく苦手だ。
悪魔の実ギロギロの実の能力者。
心は見透かされ、記憶すらも覗いてしまう能力者。
何度、見られたことか。
顔から血が引いていくのを感じる。
「お前、ミンゴの女なのか?」
聞いた事もない声が響いた。
よく見たらヴァイオレットの後ろに、麦わら帽子を被った男とその後ろに片足のおもちゃがいるのが見えた。
どんな状況かわからずに固まると、ヴァイオレットが指で円を作り近寄ってくる
「今までごめんね」
そう言って、彼女の記憶を覗かせてくれた。
色々な映像が見える、ヴァイオレットがこの国の王女だった頃の楽しい記憶、ドフラミンゴに征服された後の屈辱、怒り、憎しみ
そして、麦わら帽子の男の笑顔
「………サイレント」
指を鳴らすと辺りが静かになる。
「なんだ!?静かになった!!」
「麦わらさん。」
「なんだ!?お前、能力者か??」
「これ、ローの鍵。それと、私はドフラミンゴの女じゃないよ。」
「そうなのか?あ、鍵ありがとな」
あんなもの見せられたら、信じるしかないじゃない。
この10年私も色々あったけどヴァイオレットも…いや、この国の人もみんな沢山のものを抱えていたのね。
「この能力は大切な人の形見なの。麦わらのルフィ…私は戦えないけど。必ず力になるから。だから、ローの事お願い。」
あの人が守りたかったローを死なせるわけにはいかない。
私は、私なりの戦い方をするしかない。
「おう!ローは友達だからな!」
「…友達。そっか。…ヴァイオレットさん、見せてくれてありがとう。あと、ごめんなさい。これが終わったらゆっくり話そう。
それから今使ってる能力は周りの音を遮断する能力。こっちの声は外には漏れないけど外の音も聞こえなくなっちゃう…今から解除するね。」
「そうね、これだと中の会話も聞こえない…」
「奇襲をかけるなら、もう一つの能力をかけてあげる。」
「まだなんかあんのか!?」
目をキラキラさせてこっちを見てくる麦わら。
子供みたいだなんて思って笑ってしまう。
「私がこの能力者だって事は誰も知らない。だから驚くだろうね。」
私の大好きだった人の能力。
今日はよく思い出す。