第10章 託されるもの
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こうしてシャンクス達が無事に出航した後、今度はロシナンテさんともお別れになって村から遠く離れた崖まで見送りに出た。彼は来た時と同じくコハクの背中に跨り、私がせめてと用意したお弁当を感動したのか涙ながらに受け取り、颯爽と飛び立ってしまった。どうか帰路でドジったりしませんように、そう祈る私の内心は割と本気だった。だって彼のドジっぷりの才能凄いもの、この心配は決して大袈裟じゃない……
そんな危なっかしさ満点の彼は、雲の上を飛んで遠く離れた白ひげ海賊団の元に一旦戻り、そこからロー君が住んでる島へと向かうのだ。コハクにはロシナンテさんをちゃんと現地に送り届け、戻って来るように伝えておいた。そうしたら見事に入れ違いで村におじいちゃんが現れ、嫌がるルフィの首根っこを掴み……かけたが、脳内に私がキュピーンッと目つきを鋭く睨む姿が浮かんだらしく、小脇に抱えてダダン一家のアジトに連れて来た。ルフィが全く海賊になるのを諦めないので、遂に何の予告も無いまま突然この山に運び込んだのだ
しかし元々この日は私が海兵になるべく、おじいちゃんに迎えに来てもらって出て行く日だった。まずはダダンさん達やエースとお別れの挨拶をした後、フーシャ村でルフィやマキノちゃんや村の皆と話そうと思って考えていた。なのでお家の前では既に整理した荷物を持ち出し、おじいちゃんが来るのを待っているんだけども。そうしたら皆して私を中心に集まり、ダダンさんとエース以外の男達がぐちゃぐちゃに汚い顔で泣きまくっていた
「うわぁぁああんっ、……っ〜!!」
「い゛がぜだぐね゛ぇよ゛ぉぉおおッ!!」
「の料理に飢えちまうよぉぉぉっ、掃除もやる気が無くなるよぉぉぉっ!!まだまだ一緒に雑用してぇぇぇっ、オレらはがいなきゃ碌な生活できねぇよぉぉっ!!」
「そーだそーだっ!!エースも姉ちゃんと離れ離れじゃグレちまう!!姉弟でいるのを見るのがどれだけ和んだかっ……!だけどガープさんにゃ逆らえねぇ、こんな仕打ちはあんまりだ!!」
ドグラ「う゛うっ……それでも見送ってやるって、決めたじゃにーか!!しっかりしろ!!」
マグラ「ぐすっ……ズピッ……達者でな!!」
皆して大洪水の如く滂沱の涙を流しまくり、血反吐を吐くような絶叫で痛ましい声をあげまくる