第10章 託されるもの
しかし必死な勢いで訴える彼らの真っ青を越した土気色の顔や、涙で潤んで揺れ動く瞳が心細げで。正直そんなに不安がらなくても普通に出来るし、今まで通り生活してれば問題無いので、山賊さん達の荒れっぷりには思わず唖然になったしドン引きだ。そして仲間達の絶対絶命のピンチ、或いは地獄を前にした動揺っぷりに全く同じ泣き方をするドグラが喝を入れていた。隣からはマグラに「達者でな」って声をかけられるけども、冷静に見えたって涙や鼻水はドバドバ溢れ続けていて……。全員がびしょ濡れのハンカチを片手に持っている
けれど彼らを様子を見れば本人達にとっては大袈裟な問題じゃなく、私が思ってる以上に自分を必要としてくれてるのでそれが無性に嬉しくなるのも本音だ。正直何とも言えないあまり苦笑いしてる私の隣で、エースとダダンさんが冷ややかな視線を向けていて……。とは言え、そんな二人も両目が充血してたり目元が赤くなってて、結構泣いてくれていたのは丸分かりだ
エース「……うわ汚ねぇ」
ダダン「……まったく、テメェらは山賊だろうが!!いい歳こいた悪い大人が子供に縋ってんじゃねーよ!!」
「「いやいや、そーいうアンタらだって顔に出てる!!」」
うおぉぉぉんっ!!と職業・山賊な筈の男達が泣き喚く。喝を入れるどころかさっきより悪化しちゃった部下達を見て、ダダンさんは額に青筋が浮かんだものの大きなため息を吐いて呆れ果てた
そんなタイミングの中でおじいちゃんがルフィを掴んで現れ、やっぱり私達を引き取る時と同じく断ろうとしても出来ず、強引に嫌がるルフィが放り込まれたのだ。加えて私の姿を見た途端に駆け寄ろうしたルフィだったけど、エースが唾を吐き捨てちゃって険悪な雰囲気で「仲良くしろ」と祖父から言われてるのが可哀想だった。(言うまでもなく、おじいちゃんとエースはお説教です)
おかげで私と引っ越しの挨拶になって号泣しちゃったルフィと、新たな同居人に不機嫌になったエースという、色んな不安が尽きない問題が舞い込んだ……。きっとルフィならエースの心を開いて仲良くなれそうだけど、それからサボくんも合わせてヤンチャが増さないかな?そんな一抹の心配を胸に秘めて応援しつつ、第二の故郷・ドーン島をフーシャ村の皆にも見送られて旅立った───