第10章 託されるもの
そして激痛に苦しむどころかシャンクスさんは朗らかに笑い、左腕に泣き叫んでるルフィを抱えて海から帰って来て。すぐに彼の仲間達やウタちゃんと一緒にシャンクスさんに駆け寄って行くと、すぐにルフィを差し出されたので力一杯抱きしめた。それでも私は体が震えて目からは涙が溢れ、唇を血が出そうなぐらい噛み締めた
だってシャンクスさんほど明らかに強者の気配を持つ人間が、海王類を返り討ちに出来ないわけがない。彼は敢えて間に入って右腕を食わせたんだ、まるで処刑台で笑いながら逝ったゴールド・ロジャーのように……。だから感じるものがあるんだろうか、二人が浮かべた笑みは全然同じじゃないのに不思議と重なって見えた
「ぐすっ……ズピッ……ジャングズざん゛っ…!!」
シャンクス「はははっ……ダメだろう、そんなに噛んだら血が出るぞ?お前までそんなに泣かないでくれ。オレはルフィが無事なら平気さ……」
シャンクスさんは優しく温かい声でそう言った後、腰に抱きついていたウタちゃんを抱きしめていたその隻腕で私の頭をポンポンと撫でた。そうする手つきはお世話された頃と全く同じで、「久しぶりに妹分を泣かせちまったな……」と懐かしげに参った口調で言うので一層泣いてしまった
あぁ本当に父さんといい、この兄貴分といい、私に大きくて優しすぎる気配りしたり、泣かせに来たりするなんて困った人達だ───