第10章 託されるもの
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いかにも性悪そうな山賊達がバーにやって来たと思えば、リーダーらしき細っこい男を先頭にした数人がズカズカと店内に入り、好きな場所で座ってるシャンクス達をぐるりと見回した。その目は相手を値踏みするどころか、彼らを見下す目つきである。そして酒を求めて来たと言っているのだが、今日はシャンクスさん達が飲んでいる分で最後だ。なので「これが最後なんです」って愛想良く接するマキノちゃんだが、それを「ふざけんじゃねぇよ、酒を俺達によこせ」と無理強いで騒いで空気は悪くなる一方だ……
するといつもと同じように剽軽に振る舞うシャンクスさんがお酒を分けようとしたが、横暴な山賊達はその酒瓶を逆にシャンクスさんに叩きつけ、そのせいで無抵抗に床で尻餅をついた彼をゲラゲラ嘲笑いながら去って行った。正直私は山賊達がマキノちゃんを困らせた事や、シャンクスさん達に無用な喧嘩をふっかける彼らにイライラしていたけど我慢した。だって私も自分が絡まれただけなら割と気にしないし、助けに入るのは逆に失礼なので静観していた
そうしたら山賊達が立ち去った後は船長の有り様に大笑い、だから子供ながらに直情的なルフィは「なんであんなに馬鹿にされたのに、やり返さねぇんだよ!かっこよくねぇ!」と、真面に相手にするまでもねぇと語ったシャンクスさん達に相当ご立腹だ。そんなルフィは最後に悪態を吐いて出て行こうとし、宥める為にもシャンクスさんが「まぁ待て」とルフィの小さな腕を握った時……
びよーーーん
ルフィ「ん?」
「「なっ?!!」」
シャンクス「手が伸びた……!!」
ルフィ「何だこれあああああ!!」
誰もがありえないその光景に衝撃を受けた。何故かは分からないけどルフィの腕がどんどん伸びるようになっていて、海賊達がぎゃあぎゃあ声を上げる中で私もマキノちゃんも声が出ないほど愕然となった。すると赤髪海賊団の一人が「まさかお前」と覚えがありそうな言葉を漏らすと、彼らの代表で顔色を真っ青にさせたルウさんがカウンターテーブルに置かれた宝箱に駆け寄って……
ルウ「ないっ!!」
「「なにぃ?!!」」
ルウ「敵船から奪ったゴムゴムの実が!!」
中身を確かめたルウさんの声に、仲間達が揃ってますます騒然となる。更にルウさんは何処からかスケッチブックを出して、変な模様の果物を描くとルフィに見せた
