第10章 託されるもの
白ひげ海賊団が曰く、新世界の島でその日は地面陥没が起こって騒動になったらしい。突然、何の前触れもなくその場に見聞色の覇気を持った男達が未来を見、地面陥没を悟った彼らが回避した途端に降りかかった脅威……。と言うより、その島の地面よりも遥か下……海底から大口を開けて、少年が入った宝箱と道化の化粧をしていた男───もといトラファルガー・ローとロシナンテが捕食された。別に体を噛み砕かれたり、飲み込まれたり、消化されたりなんて一瞬も無いが……
しかし、いきなり地面を突き破って現れた挙句、その勢いで瓦礫も人間も口にして海までジャンプしたのは新世界の怪物だ。海王類の中でも最悪で凶暴な種族、それに一度は頂かれかけて生還するなど相当な実力者じゃなければ無理だと言う……。故にローとロシナンテは被害が無くて奇跡だったし、元々海王類の方はそんなつもりも無かったというのだから全員がおったまげたのだそうだ
そんなおかしな現象を明確に、順を追って話すとしよう。昔から件の海王類達であるカナタと嫁は人間臭い部分があって、子供のカナデがの元へと行った後はバカンスという名の『世界無限()周回旅行〜死が二匹を分つまで♡〜』を始めた。そんなリア充二人は当時滞在していた島の真下にロマンスドーン(海底洞窟)を作り、数日滞在していたので移ろうとしていた。しかし真上の地上では何やら不穏な雰囲気が漂い、悪魔の品物であるオペオペの実と幼い少年の命を巡って兄弟喧嘩が勃発しているではないか……
新世界にいる海賊団の船長によって、海軍諜報員であったロシナンテが重傷を負ったのだ。ロシナンテはナギナギの実の能力者であり、近くで必死に身を潜めているローを能力で匿い、命懸けで外へと救出たかった。間近には海軍の軍艦も来ており、ロシナンテは戦闘で重傷を負っていて危険だった……
それを海中でもきちんと色々聞き取っていたカナタは、かつて共に世界を旅して回った海賊王を思い出す。アレも家族や仲間を一等大事にしていた、そしてロシナンテもローに親のような深い愛情を持っている……。その事に酷く感情を揺さぶられたカナタは、種族が凶暴すぎる本能を抱えるが故に盛大に暴走した……
島の一部を助走をつけた頭突きで破壊し、勢いのまま二人を咥えて嫁と二匹でツテの居場所まで泳ぎまくったのだ