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転生しちゃった元鬼殺隊士の救済録

第10章 託されるもの



そんなあっさり感動話が過ぎ去ったある日、またしても赤髪海賊団が来た時以来の同じ現象が発生する。潮風に乗って遠くから聞こえる『懐かしい声』、美麗だけれど猛々しい音色……。今回もコハクの名前を怒鳴るように叫んでおり、コハクも巣から飛び出して荒々しくドーン島を去っていく……



───おぉぉぉい!!コハクのバカヤロウ!!呼んでやるからこっちに来いやぁ!!


───聞こえてんだろォが、カマガラスさんよォ!!


コハク「んだとゴルァァァ!新世界でタイマンじゃボケェ!!



……こんな具合に。コハクは割と私やエース達に気を遣って会話をするんだけども、この声の主のような相性が悪い相手や悪人なんかにはこの口調だ。いつものさっぱりな態度と可愛さ、癖が強いけど絡みつくような感じのしないオネエ口調が完全に崩れ、顔を出したのは乱暴で凶悪な獣の本能……


昔、ふとした時に彼らに尋ねた話が曰く、「俺達はそう言う生き物なのさ。本能と気持ちにゃ逆らえないから喧嘩する」。お互い立派な雑食系と肉食系である、争わないではいられないのが動物のサガなのだろう。故にコハクは遠距離で喧嘩腰のまま会いに行った……












そして今回も僅か一週間以内で帰ってきたのだが、コハクは背中に大きな男を連れて帰って来た。もう一度言おう、オネエちゃん鴉が遠出を終えて、旅人風の一人の男を連れて来た。男は背中に大きいリュック型の荷物を背負い、容姿は長身でお肌も金髪も綺麗な眉目秀麗の大人……。おまけに小豆色の帽子や道化師メイク、ハート模様のシャツと真っ黒な羽毛のコートまで……


そういう随分と装いが愉快で派手な男を背負ったコハクは、森で狩れた大猪をコルボ山の崖で解体中だった私の元に降りたって。そんな巨大鴉のコハクの背中を飛び降りた男は、一見ただの道化のようで胸元が大きく開いたシャツの隙間から胸筋が見えるし、服で隠れた全身も鍛え抜いた筋肉がある事だろう


まさか犬や猫なら兎も角、人間の男を拾って来るなんて……




コハク「タッダイマァァ!!チャン見テミテ、イイ男〜」

「いい男って……。そちらの大道芸人さんは何処の何方なの?」

コハク「元ハ海軍ノ潜入捜査員ダッタケド、任務デ瀕死ニナッテタ所ヲ『アイツガ失踪サセテ』、『手当てシテモラッタ』ドジッ子可愛イ、ロシナンテチャン」
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