第8章 音楽家と華(FILM REDネタバレあり)NO SIDE
の言葉に唖然となった保護者一同だったが、実際ウタはどういう気持ちなのかと船長の隣の小さな娘を見下ろした。するとウタは目を輝かせて嬉しそうにを見上げ、次第に笑顔になっていくとテーブルに片肘を乗せて身を乗り出しながら力一杯頷いた
ウタ「うん、そうなの!すっごーーい、何で気づいたのさん?!シャンクス達は全然分かってくれなかったのに!」
「「?!!」」
「そりゃあ私も、同じ経験があったからね」
興奮しながら喜ぶ娘の無邪気な言葉は、衝撃だったシャンクス達の心を一層深く抉っていた。彼らが視界の端でテーブルに突っ伏しどんより影を纏う中、はそんな可哀想な大人達を助ける為にサポートへ回る
「もちろん私だけじゃないよ、世界中の大人達もそう、シャンクスさん達だって子供の頃は大嫌いな物があったんじゃないかな?」
ウタ「え〜?!そうなの?!」
「「あ、ああ……」」
「だけどね、ウタちゃんや他の子供達がちゃんと大きくなって、元気に過ごすには嫌いな物も沢山食べなきゃいけない……。その為に必要なものがいっぱいご飯に詰まってるし、皆がウタちゃんも美味しく食べれる物をいっぱい考えてる……。意地悪なんかじゃないんだよ、ウタちゃんに丈夫でいてほしいってだけなんだ。何より海賊のご飯は陸で調達するもの、いざって時困らないように頑張ってくれてる事も分かってあげよう?」
ウタ「わ、分かった……。私はルフィよりお姉ちゃんだもん、頑張ってみる!」
慎重に言葉を選んだがそう言ってあげると、ウタは変わらず嫌そうながらもやる気を出して正面の野菜に手をつけた。そうしてウタは知らずに食べている以外で、初めて自分から野菜を野菜と分かって食べれるようになったのである。その日の赤髪海賊団は宴を開き、マキノの酒場で閉店時間まで大騒ぎだった───
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ウタは悪魔の実を食べた能力者であり、歌をきっかけに聴く者達を現実世界で眠らせ、意識を仮想空間(ウタワールド)へと誘い込む。その実の名前は超人系(バラミシア)のウタウタの実。その世界では能力者が描いた通りの現象を起こせるそうだ。そんなウタが赤髪海賊団で身を置く役目、それは彼らに笑顔と幸せを送る音楽家だ