第8章 音楽家と華(FILM REDネタバレあり)NO SIDE
それは日頃から愛ある拳骨と共に、全身で嘘だと疑うべくもなく訴えられてきた。それ故に文字通り痛いほど理解しているが、だったとしてもジジィの振る舞いは大嫌いだった
その日もルフィは抵抗虚しく首根っこを掴まれ、乱暴な祖父に無人島へ連行されようとしていて。毎度あんまりなやり方なのでオロオロとするマキノが、村の出入り口付近まで嫌がるルフィを後ろから追って宥めている時だ。やたら村の方が騒がしいからと様子を見に来たが現れ、ルフィを強引に連れて行こうとするガープの姿を見つけた途端に一瞬真顔となった。何処かで小さくブツッと何かがキレたような音がする
はルフィが泣きじゃくっているのに、強硬手段をとっているガープの乱暴すぎる愛情にブチギレた。なので真顔からすぐににっっっこり笑顔を貼り付けたが、額に青筋を浮かべながらも努めて柔らかい声音で祖父の背中に待ったの声をかける
「ちょっと、おじいちゃん?嫌がる孫に対してあんまりです、それは些かやりすぎなんじゃないんですか?」
マキノ「……」
ガープ「おお、!わしはルフィを立派な海兵に育てるんじゃ!ルフィは3、4歳から無人島でサバイバルさせても、何とか無事にやれておる。心配せんでも大丈夫じゃい」
「へぇ、そう……3、4歳から既に……」
ガープ「そうじゃよ、さすがワシの孫じゃろう?」
「ええ、ええ、そうですね……。それほどのタフネスがあって安心しましたよ……」
がマキノの後ろから喋りかければ、その声でいる事に気づいたマキノがハッと驚かながら振り返って……。そうしての表情と雰囲気で尋常じゃない怒りを悟ったマキノは、自分にも思う所はあるので口出しで出来ずに口元を両手で覆った。常に豪快で呑気なガープは嫌がる孫をよそに自慢げに胸を張っており、話を聞いたが徐々に眉間に皺を寄せても笑顔だけは保って怒りで体を震わせいく二人を交互に見やる。すると、何度か言葉を交わして漸くガープも異変に気づいたが……
ガープ「ん?どうしたんじゃ?そんなに笑顔で怒ったりして……」
そう言って不思議そうに首を傾げた祖父に、はとうとう堪忍袋の尾が切れた