第8章 音楽家と華(FILM REDネタバレあり)NO SIDE
手足をバタバタさせて全身で喜びを表し、「あー」や「うー」と誰にともなくお喋りするので、そんな娘の様子を見ていたロジャーが大丈夫みたいだなぁとニヤッと笑った。そして後ろを振り返りざまに娘を反対向きに抱え直し、ニューゲート達と対面できるようにすると再び頭上高くに掲げて回転しながらこう言った
ロジャー「おーいテメェら、宴の最中にすまねぇな!ここでオレ達の新しい見習いを紹介するぜ?この赤ん坊の名前は!!我らがロジャー海賊団の小さな『華』だ!」
「「いえぇぇい!!」」
船長の高らかな紹介と笑顔な赤ん坊を見聞きし、ロジャー海賊団のメンバー達も大きな歓声を上げた
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は遠く懐かしい夢を見た。偶然見習いだったシャンクスさんと会うことができ、無意識に心が当時の記憶を求めたのだろう。麦わら帽子を被っていない当時のシャンクスさんの隣で、青い髪と真っ赤な鼻をしたニット帽の少年がバギーと呼ばれていた
そうやって夢の内容を思い浮かべつつも、は隣でダイナミックに大の字でお腹を出して寝ているエースに布団をかけてベットを抜け出した。早朝4時がの起床時間である
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ルフィはにとっても懐いているが、基本誰にでも懐くルフィが彼女を『姉ちゃん』と呼び慕うのには特別な理由があった。それは俗に言うカナヅチで海を泳げない自分を馬鹿にせず、喧嘩も碌に出来ないくせに「強くなる」と訴える根性を嗤った事もない。泳ぎは海王類を近づけさせずに練習させてくれるし、体を鍛えるコツも聞けば教えてくれる。そして面倒見がいい親代わりだったマキノと仲が良く、血の繋がりがなくても本当の姉弟として接してくれる。ルフィは逞しい姉ちゃんが一等大好きであった
そんなルフィがを本格的に尊敬し始めたのは、紹介された数日後にあった事件である。基本的にルフィはフーシャ村で育って生活しているものの、ルフィを特訓させたい祖父のガープは本人が3、4歳の頃から酷くスパルタだった。しかも凶暴な野獣が住んでる無人島に置き去りにするなど、マジで死んでもおかしくない荒業を平然としてきた。けれどこの祖父はルフィを、とまだ見ぬ彼女の弟を心底愛し、大事だからこそ強い海兵にしようと頑張っている