第7章 赤髪海賊団
「ここなら誰にも聞かれません。話っていうのは、貴方が私を知ってる事に関してでしょう?」
シャンクス「ああ、その通りだ。オレは元々ロジャー海賊団で見習いをしていてな、当時赤ん坊だった嬢ちゃんの世話をもう一人……。バギーって奴なんだけどな、アイツと一緒にしてたんだ!」
いやぁ〜、強くて別嬪さんに育ったな!そう言って爆笑している彼は、どうやら私のお世話係だったらしい。「だっはっは!」と大きな声で一頻り笑う彼から嬉しさがありありと伝わり、漸く笑いを収めた頃には私をじっと優しく見つめ、懐かしそうに緩んだ表情が鋭い目つきを細めていた
ああ、この人は信頼しても大丈夫……。そうやって思えるぐらい、慈しみの籠った温かい声音、言葉や雰囲気は緊張や警戒を解くには十分だった
シャンクス「……お前が無事で本当に良かった。海軍が起こした妊婦狩りでは、当時のオレや仲間達がお前を捜索し、保護することは却って危険を伴う。ロジャー船長は『対策を打った』と言っていたが、出来ればと会いたいと思っても叶わずじまいだ。当時はあの人を信じて動かず、色んな島を巡って探していた。いつからここに?」
「えっと……もうすぐ10年経ちます。妊婦狩りの時期では、父親の信頼出来るツテの方々に匿ってもらいました」
シャンクス「ロジャー船長が信頼できるツテ……思いつくのは白ひげ海賊団だな。正直あそこの連中達ほど安全な場所はない……。もしも第二子だけじゃなく、の存在がバレたとしても隠し通せそうだ」
「……ええ、恐らく父さんもそう考えていたと思います。あの時、私を隠してくれた方達は白ひげ海賊団でした」
シャンクス「おお〜、やっぱりそうか!アイツらいい連中だろう?」
答えが当たった事もそうだが、よく知る親しい敵の名前が挙がって喜んだ彼は、やっぱり父さんと同じく白ひげ海賊団の人柄を相当好んでいるらしい。何故か自慢げなので笑って頷き返しておく
かくいう私も彼らが好きだからだ。私の父親がロジャーだと知っても、「子供に罪はねえ」と保護してくれて無事に妊娠中の母の元に帰してくれた。おかげで無事に難を逃れて今日を迎えられる、だからいくら感謝したって足りないぐらいだ。彼らは誰一人私を追い出そうとはせず、数ヶ月間を部屋まで与えて過ごさせてくれた