第7章 赤髪海賊団
正直嫌われたんじゃないかと思っていたし、怒られるのを覚悟したけど随分素直で優しい子だったので安心した。思わず胸に手を当てながら小さなため息を吐くと、静かに私達を見守っていたシャンクスさん達ご一行も納得の様子で微笑み、話を変えて明るい口調で喋りかけられる
ホンゴウ「しっかしこの村は穏やかだな、治安も良さそうだしよ」
ウープ「治安が良くとも海から海軍と海賊、山からは山賊と肉食獣が寄って来よるがな……」
シャンクス「まぁそうだよな……。だったら滞在する間はこの村を守るのを担保に、暫く拠点にさせてもらえないか?」
「……拠点?悪いけどここじゃ、私達住人が暮らしてくのに精一杯な物資しかないんです。都心は貴族が五月蝿くしてるし、無人島の方がまだ良いくらいですよ?」
ベックマン「いいや、別にそれでもかまわねえ。あくまで近くを航海する為の休憩地点だ、物資は別で調達するつもりだし、居させてもらえるだけでいい」
「「!!」」
ぶっちゃけ都心以外は貧しいこの島、そんな田舎の村でも物資に頼らず滞在だけをしたいと言われて驚いた。今までやってくる賊達と言えば、私達の生活も考えず好き放題に略奪・蹂躙しようと目論む連中ばかり……。それに引き換え彼らは、呼吸も瞳孔も嘘をついている様な変化がない。私は村長さんと顔を見合わせ、無言で是非を問うような視線に大丈夫そうだと頷き返す
ウープ「……分かった、良かろう。ただしその気は無いんだろうが、絶対守ってもらう条件がある。お前達海賊の揉め事はもちろん、村人達を傷つける行為はせんでくれ」
シャンクス「ああ、こっちは世話になる身だ。必ず守ろう」
その条件にも嫌な顔をせず耳を傾け、シャンクスさん達一行は当然の事だと頷いた。こうして赤髪海賊団とは暫く、フーシャ村を拠点にして関わっていく事になったのである───
*
その話し合いの後、シャンクスさんが「と個別に話がある」と告げたもので、ウタちゃんはベックマンさんに抱えられて一旦自船に退散して行った。きっと人目を憚る内容を語るだろう、彼とコハクの会話は私の身の上を知っている同士だと察していた。なので私はルフィと村長さんと別れて酒場を離れ、シャンクスさんを連れて村の外れの海を見渡せる崖まで来た