第6章 縁(えにし)
エースは出会った当時を思い出しているんだろう、ポツポツと鴉とのやり取りを教えてくれた。そしてそれを聞く私はというと、ガンッと頭を殴られたような衝撃を受けた。鴉は私とエースの関係を知っている、似ている彼とはロジャーの事だ。エースの見た目は父親譲りで、母さんに似たのはそばかすと癖っ毛なところぐらい。それを理解した瞬間、前世の相棒と重なる特徴を持った鴉にゾッとしてエースの肩を掴んで引き寄せた
もしその鴉が昔に出会ったよく知るあの子だとしたら、別れた筈が故郷を捨てて着いてきた事になる。当時の幼い私は記憶が無くとも、その子に既視感と懐かしさを感じていたから友になった。友になって巻き込みたくなく、とっくの昔に別れたはずなのた
「っ!!教えなさいエース、その子の名前を!サボくんもエースと私がロジャーの子供だって知ってるの?!」
エース「し、知らねぇ……。こっそり話してくれたんだ、コハクが姉ちゃんや海賊王と一緒に旅してたこと……。一回別れちまって寂しかったから、修行しながらカナタってやつが旦那とこさえた子供を連れて旅して漸く見つけれたって……」
「んなっ……?!」
再び衝撃。鴉の名前はコハク、前世の相棒の名であり今世の友に付けたもの。そしてカナタは海王類に与えた名前で、当時は独身のメスだったはずが家庭持ちになっているし、子供だけを連れて来たとは何事か。グランドラインには人間も生物も危険がつきもの、それでも私のそばが良いからと来てしまったというのか
私の剣幕に押されて教えくれたエースは、言葉を無くして唖然としている私を恐々と見て「姉ちゃん?姉ちゃんダイジョーブか?」と呼びかけるエース。悪いけど、私は何の反応も出来なかった───
*
数日後、エースは一人と一羽の友達を連れてやって来た。ちなみにカナタの子供は当然海王類であるので、今回は会わずに四者面談となっている。まずは人間の友達・サボくんを見てみれば、短い金髪にクリッとまん丸い黒目、ゴーグル付きのシルクハットと背中に携えた身長ぐらいの鉄パイプが彼のヤンチャさを感じた。けれど、サボくんの服装は貴族が着ている装いに似ている。腕まくりやボロボロになって貧乏臭くなっているけれど、何処か気品と高級感は残っていた