第6章 縁(えにし)
「サボくんか……会うのが楽しみ、エースが仲良くなれる子だもの!ところで巨大なカラスはどういう子なの?私じゃ会えない?」
エース「え?あぁ〜……アイツか?会うのはいいけど、姉ちゃんドン引くぜ?」
何故か嬉しそうにサボくんを話してくれたエースは、私が人語を語れるカラスについて触れた途端にその興奮が冷めたようで落ち着いた。そんな弟に「ん?」と意味が分からず首を傾げていれば、エースも自分の首裏に手を当てながら眉間を寄せて困っているようだった
はてさて、ドン引きしてしまう鴉とはなんなんだ。別に私は前世で人語を喋れる鴉を隊士の数だけ見てきた、鬼殺隊には鎹鴉といった連絡係の鳥類達がいたもので。だから喋れる鴉がいたところで驚かない、頑張って覚えたね〜、賢い鴉だね〜と褒めたいぐらい。何ならもっと動物目線の話をしたいと思う程度である
しかし、人語を解して喋れる鴉がいるのか……。それをエースから知った私は、自分の前世で相棒だった一羽の鎹鴉をふと思い出した。その子は体が他より大きく立派なオスだったけれど、その性格はとっても騒がしい乙女であった。所謂オカマと呼ばれるタイプで、鬼殺隊が解散しても最期の時まで私の側にいてくれた
そして巨大な人語を喋れる鴉と聞けば、今世でも一羽出会ったことがある。だけどその子は父との航海中、偶然出会ってイーストブルーで母子家庭の私達に寄り添うように過ごした後、父の捕縛で避難した時をもって故郷に帰ってしまったのだ。正しく言えばその子ともう一匹、海王類で一緒に旅した奇特で10mを超えた魚もいたけれど
「……そう言われると、ますます気になるわエース。一体どんな面白い子なの?」
エース「えっと……面白いって言えばすげー面白ぇけど、騒がしいしでっかいオスのくせにオカマだぜ?しかもそいつ、ホントは『偉大なる航路(グランドライン)』後半出身らしいんだ。なのにオレらをこっそり観察してたストーカーガラスなんだよ」
「えっ、何その子……怪しくない?」
エース「もちろんすっげぇ怪しんだぜ?だけどそいつと会ったの、オレとサボが飯にしたくてボコろうとしたら急に泣き出してよ……。『あぁやだ、彼にとっても似てる……ちゃんの弟、エースちゃん!!』って……マジで嬉しそうに抱きしめられて……」