第6章 縁(えにし)
その事に困惑しつつも嬉しく、未だに羽織をじっくり眺めるエースの隣で静かに涙が頬を伝った───
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その日以降、私の日課は家事全般と修行の後にフーシャ村の用心棒や、暮らしを助ける慈善活動なんかも加わった。綺麗な羽織と髪飾りを纏い、日輪刀は帯刀する。この村は海沿いにあるのだけれど、海にはこの世界のそこで生態系の頂点に立つ『海王類』と呼ばれる生き物がいる。どうやらドーン島の近海には海王類の主がいて、漁に出たり商船が来ると襲われる時があるのだそうだ。海王類にはいろんな種類がいるらしく、この近海の海王類は数十メートルの大型ウツボだ
おまけにそんな土地だからか横暴な海賊も訪れやすく、山賊の被害も多いし山には猛獣ばかり。若い子は少なく、老人や大人がのんびり暮らしてる村だった。その為、私が村人達と一緒に海に出て、海王類と相対すると覇王色で失神させること数回。今では海面の中で私を見つける度に逃げており、覇気を使っていた時期は普通の魚も失神しては何万匹もぷかぷか海面に浮上した
更に海賊や山賊の方は穏便に話で解決しようと思い、努めて笑顔と丁寧口調を心がけていたものの、それなら賊達は私を無害な弱者なんだと思い込んで村人達や私に酷い態度を取るばかり。やれ「嬢ちゃん、ちょいと山賊(または海賊)を舐めすぎじゃねぇか?」、「てめぇらはオレ達に平伏してりゃ良いんだよ!」とか。あまりに横暴でふざけた台詞を言うので、よっぽど酷い奴には実力行使で対応している
その制裁というのが相手の所業次第で変わっていて、無銭飲食しようものなら支払い分まで強制労働、村人達を襲ったのならその手当て、及び武装色硬化で木製の棒をフルスイングするケツバット。恐喝するなら覇王色の覇気で失神しないギリギリを攻め、最終的には極悪人を号泣させて「ごべんな゛ざい゛ぃぃぃ!!」と謝らせる。一見生温いように思うが、逆恨みや被害の跡を残させないよう徹底的にするのである意味辛辣だったりする
おかげで村人達は生活に困っていた問題が解決し、鬱憤が晴れてスッキリしては彼らの被害が格段に減ったので喜んで感謝された。ルフィには「姉ちゃんすっげぇぇえ!」と目を輝かして笑われ、マキノちゃんにはご褒美や休憩と称して飲み物とお菓子を渡される。村人達にも報酬として野菜や肉類をもらい、それを持ち帰るので家計も潤っている
