第5章 鬼の子達よ、達者にあれ
一応、技術の吸収力や体の発育を考えると13歳ぐらいからが適正なんだと教わっていたけど、この世界のこの体にそういう常識は無さそうだ。私が前世で編み出していた独自の呼吸……水と風と雷と炎を扱える境、私はそれを『淡(あわ)の呼吸』と呼んでそれぞれの型を自由に合わせて使っていた
正直そこまで鍛えあげるのに多くの時間、戦闘の経験を得たんだけど、それを加味して余りあるほど今世の肉体は逞しい。決してゴリゴリの筋肉質ではないのに、見た目が母さんに似てると思えば力は完全に父さん側だったようで……。ぶっちゃけ前世の力を取り戻すのにそう時間はかからず、寧ろ基礎能力は元から全体的にパワーアップしている事が判明した。すると修行を続ける私を見ていたエースが……───
エース「なぁなぁねーちゃん、オレにも『全集中の呼吸』っていうのおしえてくれよ!オレもできるようになりたい、いいだろ?」
「うーん……エースはまだ4歳で適正じゃないし、呼吸は使えるようになるまで体を強くしなくちゃダメなんだ」
だからすぐには無理なんだ、大きくなったら試そうエース。私のトンファーを使った剣舞を見ては瞳をキラキラさせて詰め寄るエースに対し、優しくそう言ってみるもあの子は不満を露わにムスッとする。この時からエースはダダンさん達に反抗的で、口論になったり手足が出たりと喧嘩三昧で困っていて……
まだ本当の戦い方なんて知ってほしくない、そんな保守的な気持ちもあって言ったのだけど、ダダンさん達に似てお口が悪くやんちゃな盛りのエースは納得してくれない
エース「……じゃあもしオレが4つをすぎて、おっきなどうぶつ10ぴきたおせたらおしえてくれ!それなられんしゅーできるだろ?!」
「あー……うん、まぁそれだったら大丈夫、かな?」
エース「いったな?!ぜったいやくそくまもれよな?!」
この時の私は「必死なエースが可愛いなぁ」と内心ほくほくしているばかりで、幼いながらの気概や覚悟を甘く見てしまっていた。のちにエースは5歳になった途端に私と同じく並外れの身体能力を発揮して、動物10匹を軽々倒して見せたのだ───
(夢主の年齢変更しました。4歳差→5歳差です。ロジャーの処刑から逆算するとクルーと関われるのはギリギリこの年齢なので……)