第17章 冥王との対面と、義弟との別れ
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……間に合わなかった。
慌ててダダン一家の家まで急いで帰り着くも、既にサボは自分がやりたい事の為に自らを助けてくれた男と、その仲間と一緒に海へ出てしまった後だという。
ぜぇぜぇはぁはぁと呼吸を荒げて床に倒れ伏し、滝のように出ていた汗と、痙攣を起こして筋肉が悲鳴を上げる足を休ませて。ばたばた大慌てで飲み水やタオルや氷嚢を駆使して介抱してくれる山賊達や、ダダンから話を聞かされた私は、弟の出港に間に合わなかった事を知らされた。
更にルフィやエースはとっくにアジトを飛び出し、自分達も負けてられないとばかりに修行に励んでいるという。今回の騒動であの子達は世界の惨さ、理不尽な仕打ちがどういうものかを理解した。だから一層強くなる為、必死に奮闘するようになるだろう。
ダダン「……お前宛の手紙だ、サボから」
「サボが?」
ドグラ「出港する時に渡されたにぃ、ルフィとエースも貰ってたんだ」
そう言われてダダンさんから受け取ったサボの手紙を、行儀は悪いが寝転んだまま読ませてもらった。
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姉ちゃんへ
きっと姉ちゃんの事だからダダン達から話を聞いて、仕事の途中でも慌てて帰って来てくれると思う。だけどごめん、早めに出港しなくちゃいけないから、この手紙を残してお別れします。
最後に会えないのは寂しいけどさ、エースが「海はどこにでも繋がってる」って言ったんだ。だからオレはルフィやエースはもちろん、姉ちゃんとも余計に離れちまうけど頑張るよ。
そういえばさ、オレを助けてくれた人達なんだけど、革命軍っていう組織のボスのドラゴンって人なんだ。姉ちゃんなら多分知ってるよな?そんでオレ、今回の事件で決めたんだ。将来の夢となりたいもの。オレは革命軍で世界を変える為に、貴族に苦しめられて絶望している人達の為に戦いたい。この世で腐っているのも、汚れているのも、人身売買や差別で人を奴隷にして喜ぶ彼奴らだ。だからオレは総司令官だっていうあの人に着いて行ったんだ、色んな連中を敵にする覚悟はとっくに出来てるよ。
だけど正直、姉ちゃんとジジイは海兵だけどすっげー大事な家族だから、敵になるけど戦わねぇ!!今より身長が大きくなって、ルフィとエースも一緒に会える日が来るのが楽しみだ!
そんなわけだから姉ちゃん、行ってきます!!
サボより
