第16章 ショップ壊滅事件と王下七武海
やりたくてやった。ただそれだけの思いつきな行動だったので、私的には特別感謝されるものじゃないと思ってる。なので何となく隣の祖父を見上げてみたら、ジンベエさんを呆れた顔で見ながら下品にも鼻をほじくっていた。うわ、汚い……。
ガープ「……別にワシらは任務で余ついでに暴れただけじゃ、海賊に感謝される海兵なんぞ型なしじゃい」
「そうですねぇ、連中を言い包めるのも楽勝でしたし……。ましてやこの世界に色んな人種がいるなんて常識でしょう、彼らの尊厳を何だと思ってるんだか……。と言うか、おじいちゃんは行儀が悪すぎます」
ジンベエ「!!」
どうしてか勢いよく顔を上げたジンベエさんが私達に大層驚いたけど、私としては祖父が鼻をほじった指をティッシュで拭っている様子をジト目で睨んでおく事の方が肝心だ。本気でルフィ達が真似しかねいからやめてほしい───────
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その後、会議室から吹っ飛んで行った七武海の三人組は両腕全体に青痰と切り傷を負い、服も風圧で所々が千切れていたらしいけれど、何故か彼らは私に反撃しないままマリンフォードを去った姿を目撃されていた。彼らが私が迎撃した時、咄嗟に覇気を纏った腕で攻撃を防いでいたからだ。そして理由は悟るのも嫌で不明なのだが、気色悪いほどにニヤニヤ笑っていたらしいので、碌な思考をしていないのは確かだろう。何それ被虐趣味だったとか?不気味すぎません??
閑話休題(それよりともかく)
あれから私と祖父と私達の部隊はシャボンディ諸島の一角、ヒューマンショップがあった荒地へ向かった。先の一件の処罰で始末をするよう命じられたのだ。ぶっちゃけ後悔も罪悪感もないが、派手にやらかした自覚と始末の大事さは分かっている。故に私とおじいちゃんは部隊総出で修繕作業するんだけど、初日からずっと気に掛かってる事がある。
それは私が決まって一人でいる時、休息で部隊や祖父から離れていたら感じる気配。敵意も殺気も微塵も感じぬ凪いだそれは、単に私を見ているだけ。祖父は検討がついているのか「放っておけ」と言っていて、時々何処かを見やっては呆れた顔をしてるだけ……。一度は見聞色で正体を感知しようとしたけど、相手はかなりの強者らしく逆探知されたようで隠れてしまった……
しかしこの日、私は直接この人物と顔を合わせることになる。
