第15章 昇級と新部隊、結成
巻き付いて私を捕らえていたのは、シキが着ていたと思しき羽織だった。シキは下卑た笑い方で私を「ベイビーちゃん」と嘲笑い、ロジャーを否応なく勧誘する駒として利用しようとした……
けれど浮遊して来た私にシキが指先だけでも触れる事はなく、一瞬で奴との間合いを詰めたロジャーが私を抱えて剣を一閃。「オレの娘に触るんじゃねぇ!!」その一言の叫びと共に普段より荒ぶった覇王色の覇気がシキを圧倒し、今度は服船長のレイリーさんの手元に預けられた。
そういう経緯があるので、私がロジャーの血縁なうえに、地雷であった事は知られてしまっている──────
「……なるほどのぅ。まさかお前さんが二人と面識があったとは思わんかったが、赤子の頃の話だからと軽く考えてはならん。ロジャーに盲目だったが故に、子供のお前やエースに何をするか検討がつかん」
「……そうね、なるべく気をつけるよ」
私の薄ら覚えの記憶を聞いた後、おじいちゃんに油断はするなと念をおされて頷いた。たった一度だけだとしても、金獅子の残忍な性格は過去の経験で知っているからだ。
……けれどもう一人、気をつけなきゃいけない海賊が何処かに隠れ潜んでいる。そいつはヤミヤミの実の能力者、かつて白ひげ海賊団に所属していた裏切り者、
マーシャル・D・ティーチ
私がロジャーに『白ひげ海賊団への自分の世話代』として託されたヤミヤミの実を、献上当日に盗み去ってしまったクズ男だ。