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転生しちゃった元鬼殺隊士の救済録

第13章 里帰り



もちろん末端の海兵だった頃から仕事の合間や、休憩時間に現れるおじいちゃんと煎餅の茶菓子タイムは話題が絶対弟達だ。やれ最近こんな事があった、あんな事があったと、思い出話も合わせて沢山語っている


そうやって私は弟達に会えない寂しさを拭い、故郷を離れて一年半で漸く中将への昇格予定と有給使用を勧められて意気揚々と帰れる時が来た───











私は元帥のセンゴクさんから有給消化を命じられ、すぐに任務の合間を使って一人用の小型船を発注した。それも腕利き揃いの水の都・ウォーターセブンの大工にオーダーメイドを頼み、食糧庫と倉庫と1LDKの生活空間を整えた、ベージュの木目がシンプルで素朴なデザインで作ってもらった可愛い船だ。舵取りは船首を屋根で覆う形で設計されて、砲弾は用意しているものの肝心な大砲は装備していない。だって武装色で強化して投げた方が早いもの……おじいちゃんだってそうしてるし……


そして航海に大切なのがログポースなのだが、私は一直線にドーン島に帰りたいので必要だから買うに買ったが、寄り道出来るような日数じゃないから今回は使わない事にした。だったらどうやってドーン島の方角を知るのか……


それは、『海と海洋生物達に聞く』のである。何故か私は遠い昔から色んな声無き声を沢山聞く事が出来た。全ての生き物は勿論のこと、植物だろうと無機物だろうと、そこに意思が宿っていれば耳に入って来た。そしてこの能力は父さんことロジャー譲りのものらしく、私も聞こえる者だと見抜くとそりゃあもう踊り出すほど大喜びで……


けれど父さんが処刑される頃から、私はここ暫くまで声を聞かなくなった。ああいや、正しく言うなら『私自身が声を聞かないように蓋をしていた』のだ。何せ父さんが死んだ事で世界が大きく変化して、母さんが残して逝った大事な弟を頑張って育てなきゃならない……。そうなった厳しい環境で声無き声に耳を傾けられず、自然と聞かなくなるよう暗示をかけていた。なのでエースが丈夫に育って友達ができ、私自身にも気持ちのゆとりが出来たからだろう……。ここ最近は偶に声を聞くようになった


だからその能力を思う存分使って帰ろうと思う、海洋生物なら愛の天気の変化に詳しく、凪の帯(カームベルト)でも船を引っ張ってくれる親切な海王類を探せるはすだ


そういうわけで今回、私は適当ながら里帰りします
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