第12章 麗しい華姫、爆誕 海兵side
そうして海王類達はあっさり同胞達がやられていくので、早々に戦意を失くして彼女に怯えてしまって。すると失神して浮かんでる海王類の体の上で応戦していた彼女が、変化に気づいたのか迎撃するのをやめて眦を下げる困った笑みでこの一言……。「痛めつけちゃってごめんね、すぐに退散するからさ」言葉が通じない海王類だが、それでもちゃんの言葉によって彼らはすぐさま逃げていった
それから軍艦はすぐに凪の帯(カームベルト)を脱出し、全員で本部に帰れたのだそうだけど……。何と無事に海へ転落したのに戻ってこれた彼女、ちゃんにどうしたのかと聞けば「気合いで泳いだだけです」と答えたそうだ。曰く、転落間際に掴んでいた軍艦の装飾だった鎖を抱えた状況で落下したらしく、それを離さず嵐の海を泳ぎ続けて、獲物だと思ったのか襲いかかって来る海王類を殴り飛ばしただけらしい……。そんなもの気合いでどうにかなるか!!思わず全員がツッコんだのは無理もないと思った───
伝説その3、本人非公認で入隊してから三、四ヶ月経った頃には陰で親衛隊が出来ていたこと。何せ彼女は戦闘スキルと行動力こそえげつない才能があるが、普段は同僚達には敬語で喋って威張ったりする事もなく、仕事態度はとっても真面目で誰から見ても憎めない性格だったのだ
それに任務の書類が綺麗な文字で分かりやすく纏められていたり、遠征先では島民達が困っていたら「大丈夫ですか」と声をかけ、任務外でも解決するので感謝されてるし、そういう些細な事案に巻き込まれても任務は必ず達成されていて。彼女は見聞色も相当優れているらしく、気配や感情を敏感に読んで色んな違和感に気づき、凡ゆる凶悪な罪人達をあっさり捕縛・壊滅させている。しかもその多くが億越え賞金首で、能力者だろうが覇気使いだろうが、恐ろしい剣捌きでアジトや海賊船まで破壊する……
だけど彼女は海軍の至上主義に意義を持ち、本来の作戦を無視して問題を起こすこともあるので直轄の上司である大将青雉・クザンさんやセンゴク元帥が頭を抱え、潔癖すぎる大将赤犬・サカズキさんには相当怒りを買っているようだ。とは言え、その結果が理不尽な犠牲を防いだだけでなく、元凶となった敵を取り逃してしまう失態が一度も無いので市民からの悪評なんて殆どない……。そんな彼女の働きぶりを非難する者はいないのだ
