第12章 麗しい華姫、爆誕 海兵side
勿論、現場は騒然となって上半身が天井を貫いていたモモンガ中将は救出されたが、白目を剥いて失神してしまっていた……。そんなあまりに酷すきる仕打ちと、中将の屈辱的な姿に涙した男達は揃ってちゃんを「卑怯だ」「惨いことを!」と責めたらしいが……。祖父のガープ中将だけは「お茶目じゃのう!」と大口を開けて笑い、女性達が哀れみの目を向ける中、彼女が発したおっかねぇ台詞と同時のやり取りがこちら……
「「あんまりだぞお前……っ、なんてことを!!」」
「「モモンガ中将〜〜っ!!」」
「いいえ、これは実戦を模した試験のはずです。戦いにおいて相手の弱点を狙うは定石、ましてや女が男のソコを蹴るのは立派な攻撃手段なのでは?」
「「加減ってもんがあるって言ってんだ!!」」
「加減ですか……。ではお言葉ですけど、気絶さえ出来ずに睾丸を長時間踏み潰される行為が、一思いで意識を飛ばせる事より惨いと本当に思いますか?私にそのような加虐趣味はありませんし、躊躇っていては拷問と変わりません」
「「」」
キュッと眉を寄せて真面目な表情と硬い声で放ったこの言葉。これらの一連の会話は「確かにそうだ」と頷いて同意出来るものの、1か100という彼女の単純主張にガープ中将以外の男達が総じて絶句した。お前ならもっと最小限のパワーでも可能だろうが。しかも先の試合は完全な本気じゃないらしい。もはや言葉どころか声も出ない。誰だよこの子が可憐な淑女っつったの、か弱そうっつったの、めっちゃおっかねぇ小娘じゃねぇか!!彼女のこの日の噂はあっという間に本部から支部と広まり、海軍中に恐怖と冷酷さを植えつけたのである───
続いて語る伝説その2、大嵐凪の帯(カームベルト)迷子事件である。これはちゃんが試験を経て海軍本部に配属となり、何度目かの航海中に起こった事件だ。元々、偉大なる航路(グランドライン)は何が起こったとしても不思議ではない海域も言われる。その影響で天候が崩れやすい為、突然風向きや雲が変わったり嵐が来る事も全く珍しくない海域なのだ。「だってここは偉大なる航路(グランドライン)」大概の事はこの一言で説明出来る
故にその日も偉大なる航路(グランドライン)は天気が揺らぎ、ちゃんや彼女が加わった部隊の軍艦が嵐の被害を受けた