第12章 麗しい華姫、爆誕 海兵side
それぞれ武器は刀剣を扱う者同士なので、本物は使わず竹刀を代用してのその試合。現場を目撃していた海兵曰く、ちゃんが開始の合図とともに雰囲気を変えて空気が重苦しくなるほど恐くなったという。あれは普通の子供が放つ威圧感じゃない、とは対峙したモモンガ中将の言葉だ。それに対しガープ中将は大爆笑、「そりゃあ当然じゃわい!あの子はワシの可愛い孫じゃ、これまでも地元で海賊を追い払ってきたんじゃぞ?」と面白がった
しかし何より不自然なのは居合の構えを取った時、シイィィィッと彼女から漏れ聞こえた独特すぎる呼吸音。それから中将クラスの人でも一部が見逃すほどのスピードを発揮し、一瞬でモモンガ中将に斬りかかって咄嗟に中将がギリギリ防いでみれば、地面が抉れるほどの衝撃とドォォォオオンッと響き渡った落雷の如き音……。『淡の呼吸 雷撃の壱 霹靂一閃』そう名付けられた抜刀術は竹刀が武装色を纏い、そこから次々繰り出されていく技は全て型が違ったという……。まるで雷のような攻撃だったと思えば、掴みどころが無い水流のようにも、荒々しい豪風のようにも、火炎の如く燃え盛るように見える鋭い斬撃だったと……
そして柔軟で軽やかに舞うような動きで意表を突いたり、大の男との鍔迫り合いを耐えれる腕力と、その場で踏ん張れり続けられる脚力。モモンガ中将を始め役職を持っている方達は幾つもの死線を、経験を超えて信頼と功績を積んできた猛者達だ……。なのに海王類を一撃だけで仕留められるモモンガ中将を相手に、防戦一方となるような戦いを繰り広げていたと言うのだ。現場はガープ中将やおつる中将以外の全員が騒然となり、次第にやりにくそうに苦悶の表情を浮かべるモモンガ中将だったが……
最後にちゃんが全員をドン引きさせた恐ろしさは、勝敗を決した一撃というのは、あまりにあっけないものだった。正直このまま剣を交え続けていても決着がつかないだろう、観戦していた中将の誰かがそう言ったのと同時に、彼女は事もあろうにモモンガ中将の股間を思いっきり蹴り上げたのだ……
……もう一度言おう。ちゃんはモモンガ中将の股間を蹴り上げた、細くて綺麗な色白の美脚を思いっきり振り上げて。すると中将は「ぴょっ?!」と何とも間抜けな悲鳴を上げて、勢いのままに天井へ突き刺さってしまった。わりと容赦ない金的をくらったらしい
