第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
「はい、乾いたよ」
『ありがと孝ちゃん、次私がするね』
そういって俺の背後に回ったが丁寧に手櫛を通しながら乾かしてくれる。幸せで心地よくて…俺はこの時間が好き。
『はい、できたっ』
「ん、ありがとな」
小さな手からドライヤーを受け取って片すと
が手を広げていた。
やっぱ眠いのかな。
ベッドに腰掛けるの目の前に両膝を着いて抱きしめるとスリスリと俺の胸に顔を擦り寄せてきゅっと背中のシャツを掴まれた。
「どーした?眠いか?」
ドクドクうるさい心臓を誤魔化すように
平静を装う。
『こーちゃ…ん。』
「どーした?」
『あのね…お話聞いてほしいの。』
「うん聞くよ。
聞くからちょっと離れような」
この体勢のままは心臓持たねえのよ。
『や…だっ。』
俺が持たねえんだって…
「…分かった、わかったから体勢かえよ」
『ん。』
を抱き上げてベッドへあがり壁にもたれて、胡座をかいた俺の上に座らせた。
「これで話せる?」
『うん、話せるっ』
へらっと笑ったが俺の首に腕を回してぎゅっと抱きつく。あれ…この体勢まずいんじゃないか…?頑張れよ俺の…オレ…っ。
「…っえと、じゃあ…聞きます。」
ああ心臓くっそうるせえ…
『うん、えっとね…先生に襲われたけど先輩が助けに来てくれて未遂で終わったって話したでしょ?』
「あぁ」
『そのとき助けに来てくれたのが黒尾さんなの』
「…そう、なんだ。」
なんとなくそうなんじゃないかって思ってた。
けどいざ聞くとキツイなあ。そんなヒーローみたいに助けに来てくれたらさ、好きになるでしょ…。
『中に入ってきたのは黒尾さんだけで、研磨くんは部屋の外で心配そうな顔して待ってた。あと…凛花さんっていう先輩たちも駆けつけてくれてね…皆の顔見たときすごいホッとしたの。』
「うん。」
『男の人を怖いって思う原因になったあの日に安心をくれたのが黒尾さんと研磨くんだから…あの2人には急に触れられても怖くないんだと思う。』
「うん…そっか。
黒尾には感謝しないとな。」
を助けてくれたんだから…嫉妬とかそういうのより先に感謝するべきだよな…。俺ってこんなに小さい男だったっけ。