第1章 貴方は誰を選びますか (烏 青 音 梟)前編
『…烏養コーチ?』
「ん?お、か。何してんだ?」
『えと、潔子さんとノートまとめてて。
それで喉乾いちゃって…飲み物買いに来ましたっ』
「そーか。消灯前までありがとうな。
お前はよく頑張ってくれてると思うよ。
ほら、好きな飲みもん選べ!
清水の分も買ってやるから!」
『いんですかっ!』
「こんくらいで目キラキラさせんな日向かよ」
『へへへっ』
ナイスなタイミングだったなあ〜
なんて思いつつお茶を2本買ってもらった。
『ありがとうございますっ』
ペコッとお礼をして部屋に戻ろうと歩き出すと
「あ、ちょっと待てっ」
烏養コーチに呼び止められる。
『はいっ』
「明日のメニューなんだけどひとつ変更していいか?」
お、明日の練習内容のことか。
こういうのはいつも潔子さんとか大地さんとかがコーチと相談して決めてるから私に伝えられるのはなんだか新鮮。
『あ、はいっ』
メニュー変更の内容を聞いて、買ってもらったお茶を持って、私は再び潔子さんの待つ女子部屋へと戻った。
「おかえりちゃん」
『ただいまですっ』
「お茶ありがとうね、いくらだった?」
『烏養コーチにたまたま会って買っていただいたんです。明日お会いした時にでもコーチにお礼お願いします!』
「そうだったの?
ならありがたくもらっちゃおっか。」
私が飲み物を買いに行っている間にノートを書き終えていた潔子さんとしばらく話をしてから布団に入った。消灯まではまだ少し時間があるけれど明日も朝は早いし慣れない作業に疲れていたし、私たちは寝ることにした。
『潔子さんおやすみなさいっ』
「おやすみちゃん」
5分ほど経つと隣から小さな寝息が聞こえてきた
私はというと何かやり残したことがありそうで
モヤモヤしてグルグルと考えをめぐらせていた。
『…あ。』
そうだメニュー変更…。
大地さんに伝えた方がいいよね。忘れてた。
もう寝てるし潔子さんには起きたら直ぐに言おう。
消灯までまだ少し時間がある。
大地さんのとこ行くか…。
布団からそっと抜け出して潔子さんを起こさぬようにそっと部屋をあとにした。