第1章 最悪な関係の始まり
私の通う学校には、一般的に“不良”と言われる人達が結構いる。
入学した頃は怖くて仕方なくて、入学したのをかなり後悔したけど、それもすぐに感じる事が少なくなった。
同じクラスの人達と交流するようになって、いい人が多い事を知った。
二年に上がって、隣の席になった灰谷竜胆(はいたにりんどう)君は、いつも眠そうにしているけど、授業には欠かさず出ていて、隣の席だからかよく質問して来るようになった。
「、シャーペン貸して。消しゴムも。後、教科書見せて」
「……それ、全部だよね……」
よくある事だから慣れたものだけど、たまには自分で持ってくればいいのにと苦笑する。
机に頬杖をついて、大きな欠伸をしている竜胆君を見た。
「また遅くまで映画観てたの?」
「おー。続編あるやつって知らなくてさ、二本連続で観たわ」
竜胆君とは、こうやって他愛ない話をするようになって、席が隣になってからは、クラスの男子の中で更によく話すようになっていた。
友達を作るのが苦手な私に、同じクラスになってすぐに竜胆君が一番に声を掛けてくれた。
彼は友達が多い関係で、私も他のクラスメイトと少しずつ話せるようになり、友達も出来た。
彼には感謝している。
昼休み、中庭でお昼ご飯を食べる為に友人と廊下を歩いていた。
「おっ、今から昼飯?」
「、先行くよー」
「分かった。うん、中庭で。竜胆君は?」
「俺はもうちょい後」
ばったり会った竜胆君と話していると、竜胆君の隣にいる人から、物凄く視線を感じた。
何と言うか、とにかく物凄い圧を感じる。怖くてそちらを見れない。
「竜胆ー、この子誰よ」
凄く背が高いから、頭の上から声がするけれど顔が上げられない。
「同じクラスの子」
「へぇー、初めましてー」
腰を屈めてずいっと顔が近づいて来て、体を固くする。
「は、初め、ましてっ……」
長い髪を三つ編みにして両側で垂らし、一瞬女の人かと思ってしまうくらい凄く綺麗な人。
ただ、少し見下ろし気味に見つめる目が冷たい印象ですぐ目を逸らす。
「兄貴、あんまビビらせんなって。、引き止めて悪かったな。行っていいよ」
竜胆君を見ると、眉を寄せて顎だけで行けと言っているみたいで。