第3章 下忍・アカデミー編
そして、後日。
「ではこれより卒業試験を始める!呼ばれたものは隣の教室に来るように!なお、課題は分身の術とする!」
カルタは思わずぎょっとした。
自分の心配ではない。ナルトを視界に入れると、案の定青い顔をしていた。
彼は分身の術が苦手なのだ。
『大丈夫かな』
「他の奴らは兎も角、お前が分身の術で落ちることなんてないだろ」
『そうじゃなくて…彼。』
サスケはカルタの視線の先を追う。
サスケも項垂れているナルトを見て、胸が重くなるような気分になった。
「なんで、あいつを気にする?」
『……そんな顔しなくても、私はサスケのこともちゃんと見てるよ』
「っな!俺は別に…!」
ナルトに嫉妬したわけじゃねえ!
という言葉を飲み込んだ。本当に、それじゃあ俺がナルトに嫉妬したみたいじゃないか。
『そんな慌てなくても』
抗議の言葉を探すサスケを見、クスクスと笑う。
と、教室の扉が開いてイルカが顔を出す。
「次、 髏々宮カルタ」
『はい』
そこからのことは特に述べることもない。
彼女にとっては、隣の八百屋に買い物に行くようなものだった。
彼女にとって、この試験の一番の気がかりは、あの太陽のような少年だけである。