第3章 下忍・アカデミー編
カルタの結果は言うまでもない。
天地がひっくりかえっても、たとえ大蛇丸が木ノ葉の観光大使になったとしても、この試験で落ちることはないのだ。
「よくやったさすがオレの子だ!!」
「これで一人前だね、オレ達!!」
「卒業おめでとう!!今夜はママ、ごちそう作るね!!」
親子の感嘆が聞こえる中、カルタはじっと一点を見つめていた。
「ねぇあの子……」
「”例の子”よ。一人だけ落ちたらしいわ!」
カルタはそれを聞いて、少しの納得と落胆を覚えた。
──なにか、ここからでも彼が下忍になれる方法は。
「カルタ」
『サスケ。』
「帰るぞ。今日うち来るんだろ」
『…うん』
サスケはカルタの視線の先を追い、「またあのドベが気になるのか」という言葉はぐっと飲み込んだ。
まるで嫉妬してるみたいじゃないか。
俺が、あのウスラトンカチに?
『サスケ』
「なんだ」
『私たちも、家族──いないのにね。』
サスケから、カルタの表情は見えなかった。
が、彼女の気持ちは語らずとも、サスケはよく分かっているつもりだった。
──俺はまだ、”代わり”にすらなれてないってのか。
笑わなくなったよな、お前。
あれからずっと。
「…お前には、俺がいるだろ。」
『うん。そうだね』
サスケに背を向けたまま、相変わらず無機質な声が返ってきた。