第3章 下忍・アカデミー編
やはり、芸術というのは難しい─────。
カルタには、あの岩壁の芸術と、幼い頃に兄と出掛けた、そこそこの絵描きが出していた出店との違いが、よく分からなかった。
「コラカルタ!授業中にどこを見ている!」
『あっ……いえ、別にどこも。』
視線を元に戻したが既に遅く、イルカはカルタが見ていた芸術品を見てしまった。
「っな…!!」
『…いい絵ですよね。』
カルタは努めてフォローを入れたが、イルカの青筋は増えるばかり。自習!と叫び、姿を消すまですぐだった。
『あら』
「あのウスラトンカチ、また馬鹿やってんのか」
『いい絵なのに、残念。』
「本気か??」
いたって冗談ではなさそうなカルタを見、再度あの落書きを見た。歴代の火影の顔が酷い有様である。この幼馴染はあれを『いい絵』だというのか。
サスケからすると、この幼馴染─── 髏々宮カルタは、少し変わったところがあり、何を考えているか分からないことも多い。そのひとつが、ナルトに対する態度だった。
他の大人たちや子供が遠巻きにする中、カルタはナルトと普通に接するどころか、ドベのナルトに「強くなれる」と寧ろ高評価な節すらある。
サスケはそれが気に食わなかった。
決して、それが理由で意識している訳ではないが。
数分後、イルカがナルトを捕まえてきて溜飲が下がったサスケだったが、イルカは半ば八つ当たり気味に変化の術のテストを始めたのだった。
イルカはその後、ナルトによって血を吹き出すことになるのだが、それはまた別のお話。