第3章 下忍・アカデミー編
もう一度言うと、カルタとサスケは幼馴染である。
カルタ側に大変複雑な経緯があり、以前は彼の住む集落で暮らしていた。
その後、これも大変な経緯があって、サスケとカルタは、三代目火影の下、もとの集落とは違う場所で各々暮らしている。
週に数回、カルタは、寝巻きと幾分かの手荷物を持って泊まる。
アカデミーの女の子たちが聞けば、それは半同棲というやつだが、少なくともカルタにそんな認識はなく、幼い頃の延長線上に過ぎなかった。
サスケは一度、カルタに「この歳で流石にまずいんじゃないか」と遠回しに伝えたことはある。が、「どうして?」と大層不思議そうな顔で聞き返されて、何も言えなくなった。
今日もそんな日常の中の一つ。
ほんの少し、普段より豪華な食事が並んでいた。
『明日から忍だね』
くしゃり、とレタスが歯に潰される音がする。
「ああ」
ザク、と白く溶けたチーズがカツの断面から流れた。
『サスケは、額当てどこに付けるの?』
「額当てなんだから、額じゃないのか」
『首とか、腕に巻いてる人もいるんだって』
ぱりっ、と沢庵が白米と共に口の中に消えた。
「…肉も食えよ」
『野菜を先に食べると血糖値が上がりにくいんだよ、サスケくん。』
「それでいつも大して食ってないだろ。俺のカツの方が一切れ多いの、気付いてるからな」
『…気のせいだと思うの。』
ため息をついたサスケが、カツを箸で二つに割ると、少し大きい方をふかふかの白米の上に乗せた。
「ちゃんと食え」
『むー』
「むーじゃない」
「ママ…」とカルタが呟くと、サスケは呆れた目を向けたのだった。