第1章 夢の始まり
「なにボーッとしてんだ。」
ふと意識がクリアになる。
どうやら大分長い時間、昔の事を思い出していたらしい。
「戦いの最中にボーッとしてると死ぬぞ」
「ははっ。そんな事言ってもう全員のびちゃってるじゃないですか…スモーカーさん。」
足元にバタバタと倒れている男たちをつま先で軽くつつく。
彼らは海賊だ。懸賞金額はそこまで高額じゃないけどグランドラインに入る前にこの町でひと暴れしていた所、通報が入ってスモーカーさんにのされている。
「ふん」
「曹長〜」
スモーカーさんが、煙を吐き出して背を向ける。
この人は強い。
すると海兵さんの1人が新聞を持って走ってくる。
「あ、お疲れ様で〜す。新聞ですか?」
中を開くとお目当ての手配書。
ボクは手配書マニアなのだ。
「え…これ…」
「先程!本部からも連絡がありました!今日発行された手配書の【麦わらのルフィ】が、もうすぐこの島に上陸するようです!」
心臓が高なる。
ルフィだ。幼い頃島を駆け回った。
寂しい時、辛い時一緒にいてくれた。
そのルフィが笑顔全開で指名手配書に写っていた。金額は3000万ベリー。すごい!
「麦わらのルフィ…あ、すいません。このさっきスモーカーさんが倒したやつら運んでおいてください」
「え?曹長は…」
「用があったのを思い出しました。スモーカーさん、ちょっと後でお話がありますので。」
「あ?あぁ、分かった。」
そう言って先に自分の住処に走る。
荷物は多くない。ルフィは17歳になったら島を出るって言ってた。
だからルフィの誕生日から荷物は少しずつ処分してた。
荷物は直ぐにまとめられる。
大丈夫。
問題は海軍をどうやって抜けるか…
過保護すぎるスモーカーさんになんて説明するか。
話は聞いてくれるだろうか。
同僚のたしぎさんにだって黙っているわけには行かない。
「話…聞いてくれるかなぁ。」