第1章 夢の始まり
この日、私はシャンクスと一緒に眠った。
夢は見ない。見たこと無かった。
でもこの日は幸せだった…気がする。
翌日ルフィと一緒に大号泣しながらシャンクス達とお別れした。
ルフィは麦わら帽子。私はブレスレット。
きっといつか会える。そんな約束をした。
シャンクス達が居なくなってしまったフーシャ村をルフィと駆け回っていた。そういえば、ルフィの家族はいないのだろうか?
「そういえばルフィって…親は?」
「なんだお前今更だなぁ。わかんねぇ!でもじいちゃんは居るよ」
「じいちゃん…?見たことないけど」
「あぁ!海軍やってんだ。たまにしか会えないんだ」
そんな物なのだろうか?私にはシャンクス達しか居ないから分からないけど…
親ってずっと一緒にいるわけじゃないの??
よく分かんないけど…
でもきっと。色んな都合というものがあるんだろう。
私がシャンクス達と海に行けないように。
「あ!またべソかいてる!お前本当に泣き虫だな!」
「う、うるさいな!」
「やっぱお前は、ひとりじゃ心配だな。オレが海賊になったら一緒にワンピース探しに行こうぜ!」
「え?」
「そんでよ一緒にシャンクスに麦わら帽子返しに行こうぜ!」
思いもよらないお誘いだった。
女海賊が居ないわけじゃない。少数ではあるけど。
嬉しかった。
私には記憶が無いし。シャンクス達は海へ行ってしまったし。
そんな私と一緒に海に行ってくれると笑ったルフィ。
私はその日からシャンクス達を思い出して泣くことを止めた。
少しずつ強くなろうと思った。
ルフィと海に出られるように。
少しでも力になれるように。