第1章 夢の始まり
荷物を置いたままの部屋をスモーカーさんやたしぎさんが見たらどう思うだろうか。
察しの良いスモーカーさんは海軍を出て行くつもりだったのに気付くだろう。
「でも、そうだなぁ…強いて言うなら。スモーカーさんなら追ってきそうかな。」
「えぇ!?あの煙のヤツ追いかけてくるのか!?」
「多分…。スモーカーさんがあの島に配属になってから逃した海賊って居ないから。今頃キレて本部に掛け合ってるかも。」
「ん?お前を探すじゃなくてか?」
「あー…。そういえば、ここに連れてこられた時隣にスモーカーさんいたんだよね…」
「追いかけてくる…かも。でも、荷物纏める所までしてたから。勘の鋭いスモーカーさんならなんか気付くかも……とりあえず、このままグランドラインに入るんでしょ?」
「あぁ!」
「なら簡単には追いつかないよ。海軍はそんなに身軽じゃないから」
テーブルに置いた帽子の正義という文字をなぞる。
所詮、大きな組織に身を置く1人の人間だ。
何かを成すにも上の許可がいる。
「ふーん。あ!そういえばよぉ!」
「あ、ごめんルフィ。その前にみんなの紹介して。わかんないや。ここにいる人達で全員?」
「あぁ!わりぃわりぃ。まず剣士のゾロ。狙撃手のウソップ。コックのサンジ。航海士のナミだ。」
「オッケー。覚えた。改めまして、です。」
人の顔と名前を覚えるのは得意だ。
一回で大丈夫。クルーもそんなにいないしね。
「お前海軍ならナミさんの島どうにか出来なかったのか?」
「ん?ナミさんの島?」
サンジさんがサンドイッチをテーブルに並べながらキツい目で見てくる。
なんとなく場の空気が悪くなる。
「アーロン一味の件。知らないとは言わせねーぞ。新聞にルフィの手配書が載ってるって事は海軍にも情報は回ってるんだろ?」
アーロン一味って七武海のジンベエの傘下である魚人海賊団の事だろうか?
現地からの報告では特に問題は起こしてないはず。
「ちょっと待ってください。話についていけない。ルフィなにがあったの?」