第3章 聖なる夜に ☆*:.。. 徳川家康 .。.:*☆
「つっ……」
とろんっと蕩けた表情でうっとりと見つめてくる怜に、家康の情欲は今にも爆発しそうなほどに燃え上がる。
(今すぐ怜を抱きたい。この愛らしい顔がトロトロに蕩けて俺に溺れて…ぐちゃぐちゃになる様が見たい。これ以上待てなんて…無理に決まってる)
大切な人と過ごす日だと言い、クリスマスという異国の催しを家康と二人で過ごすためにあれこれ準備していた怜はこの上なく健気で可愛いくて、その愛らしい願いを叶えてあげたいと思うけれど…その時間すらもどかしいほどに、今は彼女に触れたくて堪らなかった。
「怜っ…」
高まる感情のまま、家康は怜の首筋に顔を埋める。
柔らかな黒髪が鼻先を擽り、甘やかな肌の匂いを確かめるように鼻を鳴らす。
「んっ…あっ…やっ…」
家康の唇が首筋に触れ、ちゅっと軽い音を立てて押しつけられると怜はびくりと身体を跳ねさせて甘い声を上げた。
「可愛い。好きだよ、怜」
「っ…んっ…私も…好き。大好きだよ、家康」
「料理も贈り物も後でちゃんと貰うから…お願い、今はあんたに触れさせて」
「あっ…んっ…」
それ以上の反論を妨げるかのように少し強引に唇を重ねる。
吐息一つ漏らさぬように深くまで奪って、家康は怜の華奢な身体を褥の上に組み敷いた。
互いに身に纏う衣を肌けさせていると、ヒヤリとした冬の冷気が思わず身を震わせる。
今日は昼間も冷え込みが厳しかったが、夜は一層気温が下がっているようだ。怜の言っていたとおり、今夜は本当に雪になるかもしれない。
空から舞い落ちる雪の華を見て子供みたいにはしゃぐ怜が思い浮かんで、家康は密かに表情を緩める。
(ホワイトクリスマス…とか言ってたっけ?雪の日なんて寒いし面倒なだけだと思ってたけど、あんたが喜ぶなら…そんなのもたまにはいいかな。怜、あんたと一緒なら俺はそれだけで十分なんだ)
寒さから人肌が恋しくなって怜の身体をぎゅっと抱き締めた家康は、沸き上がる情欲に心を揺さぶられながらも不思議と穏やかな心地良さを感じるのだった。
この世でただ一人の大切な人と過ごす聖なる夜
特別なものなどなくてもいい。
あなたが隣にいるだけで、私の全ては満たされる。