(HQ|R18) セックストイを使わないと出られない部屋
第6章 ラブシロップ
「あっつ…」
薬のせいかまだ収まる気配はなかったけど俺はベッドへとダイブした。いちかは顔を埋めたまま動かない。
「おーい、大丈夫か?」
後頭部を撫でると顔を上げてちらっと俺を見る。
「こんな気持ちいいのしたことないんだけど」
「あの薬のせいだろ?」
「そうかもしれないけど…、気持ちよくてびっくりした」
「だったらよかったじゃねぇかよ」
「もういっそのこと一に乗り換えちゃおうかな」
「思ってても口に出すんじゃねぇよ。期待すんだろが」
「結構気持ち傾いちゃってるんだけどな」
「なんだよその言い方…」
「だって本当のことだもん。一は嫌?」
「んなことねぇけど」
「ねぇ、私のこと奪ってくれない?」
「もう奪ったも同然だろ?」
「え?」
「俺にしとけ。俺を選べ」
「好き…?私のこと…」
「昔から好きだし大切だったのは変わってねぇよ」
「本当?」
「言わなかっただけ」
「じゃあ私のこと…」
「好きだから…。だからもう心配すんな」
「私もだよ。…一が好き」
俺が前の女の別れたのは振られたってのもあるけどいちかへの想いに気づいたからっていうのもある。いちかに男がいる限り黙ってるつもりだったけどもうその必要もねぇな…。
見つめ合ったままどちらからともなく唇を重ねた、瞬間【カップル誕生おめでとうございます。お二人の仲良しが確認されましたのでドアが解錠されます】とアナウンスが鳴り響いた。
「ったく雰囲気ぶち壊しやがって。絶対タイミング見計らってるだろ」
「でも祝福されちゃったね」
「とりあえずこっから出たら男に連絡とって別れさせるからな」
「うん。…でももうちょとこのままでいたい」
「しょうがねぇな…。あと10分な」
「…うん」
いちかを抱きしめると【承知いたしました。では残りのお時間はご自由にお使いください】とまた機械音が流れた。
あり得ない設定突きつけといて随分とまぁ都合のいい部屋だな。ま、結果的には悪くねぇけど。
fin.