桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第12章 いつか来る終息へ【トラファルガー・ロー】
誰もが予想しなかった結末。
誰しもがまさかこんな最後になるとは思わなかっただろう。
明日は大学の卒業式の予定だった。そう、"予定''だったのだ。
今まさにこの世界に蔓延るのは"新型コロナウイルス"という未知のウィルスとの闘い。
誰がそんなことを予測したであろうか。いつもの街からは人々が消え、楽しみにしていたイベントも卒業旅行も軒並み中止を余儀なくされた。"不要不急な外出禁止"それが私たち国民に課され、毎日家でぼんやり過ごす日々に息が詰まりそうだ。最後の学生生活をこんな形で奪われるとは思わなかった。
しかし、この出来事は誰も悪くない。悪いのはウイルスであって誰を責めることも出来ないのだ。彼氏と1ヶ月も会えていないとしても。
「うぅ…会いたい、会いたい、会いたいーーーーーー!」
雄叫びのような私の声は家中に響き渡り、
"煩いわね!"と一階にいる母の怒りもまた家を揺らす。誰しもこの状況にストレスが溜まっているのだ。
ベッドに顔を埋めると愛おしい彼氏を思い浮かべる。
医者である彼はもちろん病院勤務。こういう時、どこも閑古鳥が鳴いている中でも病院は猫の手も借りたい状況だと言う。ちゃんと休めているのだろうか。お弁当でも作って持って行きたいと思ったけど、彼から"家で大人しくしていろ"という御達しがあり、泣く泣く家にいる。
卒業式は中止。
行きたかったイベントも卒業旅行も中止。
挙げ句の果てに彼氏とも会えないときた。
誰も責められないのでモヤモヤとした気持ちを結局は家の中で発散するしかないのだ。
「ううううう!ローに会いたいーーーーーーーーーー!!」
再び放たれた雄叫びに一階にいる母から同じように怒りの声が響いたのだが、それと同時に枕元で音と共に振動したスマホが目に入る。
"トラファルガー・ロー"
「え、嘘…!ローだ…!」