桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第10章 アホの集合体【トラファルガー・ロー】
「え…」
「おい、よく聞け。オレの女にふざけたことしてると逆探知してお前を見つけ出して警察に突き出してやる……チッ、切りやがった。」
何故ここにローがいるのか?
何故電話に出たのか?
状況がよく分からない私は彼の顔を見上げることしかできないでいると持っていた受話器を置いた彼。
「…あ、え?!な、何で?」
「…どんな奴なのか気になった。」
電話の相手が…と言うことだとは思うが、先ほど喋っていた時はそんなこと一言も言ってなかったのに…。でも、ローが居てくれてることが先ほどからの手の震えも止まり、動揺していた心も落ち着きを取り戻していた。
「ああ、そ、そうだったんだ。でも、ありがとう!…助かっちゃった!えへへ。ちょっとだけ怖かった〜」
手を握りしめて安堵の深呼吸をすると背中を椅子に凭れさせた。
未だにこちらを見下ろしたままだったローは急に大きな手を頭に置くとポンポンと撫でた。
その行動に絶句してしまった。何故ならそんなこと今までされたことなんてないからだ。
それどころか彼は私が家に泊まっても指一本触れたことなかったというのに。急に触れられたことで先ほどまでとは違う心臓の鼓動が早打ちした。
「……今日、焼き鳥行くか。唐揚げ食べたいんだろ。」
そう言う彼の瞳は優しい。
焼き鳥なんて何回も行ったことあるのに誘われたことに顔面に熱が溜まっていくのが分かる。
彼の顔を見ることもできずにパソコンのキーボードを見つめたまま、コクンと頷くことしかできない。
「じゃあ、18時にいつものところな。」
「…う、うん。」
「あと、さっき言ったこと…考えとけ。」
さっき言ったこととは何なのだろうか。やはり私はアホの集合体なのかもしれない。この時、彼の言った言葉の意味など分からずに、18時までに正解を見つけ出すことが出来ずに彼に呆れられる羽目になる。
その言葉の意味を知ったのはそれから暫く経ってからだった。
"オレの女"とあんな時に言われても気付くわけがない!と喧嘩したのは言うまでもないが、それから彼と付き合う事になったのはもう少し先のこと。
FIN