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桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】

第9章 理解不能【H×H イルミ・ゾルディック】






「呼んだ?」

「…イルミ…っ、!」

「…コイツは殺してもいい奴?ダメな奴?」


纏った雰囲気は怒気を含んでいて、一般人の私ですらゾクリと殺気を感じた。

恐らく私をナンパしたこの男もそうであろう。
咄嗟に私の腕を離すと後退りをした。


「っ、ふぇ、だ、ダメな、やつ…!」

「……お前5秒以内に消えろ。さもないと殺す。」


"ヒッ…!"と慄き、一目散に退散したその男に射抜くような視線を5秒間だけ向けていたが、一般人が5秒で姿を消すだなんて無理な話だ。途端に臨戦態勢に入ろうとする彼を窘めると、漸くホッと胸を撫で下ろした。


「5秒待ってやったんだから殺してもいいんじゃない?」

「だ、だめだって…!でも…ありがとう。」

「何がダメなのか分からないなぁ。」

「い、イルミ…。さっきは…」

「僕の恋人に声をかけるって言うだけで死刑に値するんだけどな。君は僕のものなんだから。」


"ごめんね"は彼の愛によって吸い込まれてしまい紡ぎ出すことは出来なかった。

彼は暗殺一家。
だから思考回路に"暗殺"が出るのは仕方のないこと。
だけどそれはただ"純粋すぎる愛"によるものなのかもしれない。


「…イルミ、ありがとう。大好き。」

「うん。僕も好きだよ。だから声をかける男は全員殺…」

「さないで…!」

「…やっぱり分からないなぁ。」






FIN
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