桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第9章 理解不能【H×H イルミ・ゾルディック】
「ちょっと…!何も殺すことなかったでしょ?!」
「君に声を掛けるということはそう言うことだと思うけど。」
この会話を聞いて"一般人''の会話には聞こえる人はほぼいないだろう。それもその筈。私の恋人は暗殺一家ゾルディック家の長男 イルミ=ゾルディックだからだ。
彼の家のことは知っている。知っていて恋に落ちてしまった。
だから彼の思考回路の中にすぐに"暗殺"というワードが出てくるのは仕方のないことだとは思っている。
それでも、事あるごとに私の周りの人を殺そうとするのはやめて欲しい。
友人だから殺さないで欲しいとリストを作って渡しておかなければ友人ですら殺されるのではないだろうか。
それでなくても異性の友人のことを殺そうとして、最近ではその友人に敬遠されているのが分かり、切ない想いをしていると言うのに。
今回の殺された男性は彼との待ち合わせにただナンパしてきた人。"たかが"ナンパだ。殺すほどの事ではない。
「ナンパくらいで人殺してたらキリがないでしょう?」
「…ということはそんなにナンパされてるわけ?」
「い、や…そ、そういうわけではないけど…。」
いや、まぁ…それなりにはされる。だが、年頃の女がそれなりの容姿で外出すればされる事など想定内だ。私だってその誘いに乗ろうなんて考えたことはない。
「嘘を吐く時、一回下を見る癖は直した方がいいよ。」
「…い、イルミこそ…‼︎私の周りの人をすぐ殺す癖は直してよ‼︎」
「君の危機回避の為には仕方ないことだ。」
「あのね…‼︎ナンパくらい自分で何とかできるもん‼︎」
あまりに聞く耳を持たずにまるで虫を殺すかのように人を殺していく彼に流石に苛つきは募るばかり。