桜舞い散る君想ふ【ONE PIECE/鬼滅の刃等短編集】
第7章 悲しみの先は【トラファルガー・ロー】
「…ほん、とうは…も、っと…愛されたかった…!」
「…ったく、勝手に他の男と結婚しやがって。」
「え、う、…へ?」
いつの間にか白衣は脱いでいてそれを椅子にかけるとデスクで何やら紙を書いてくれている。
こちらを振り向いた彼はとても優しい顔をしていて、ポンと頭を撫でられるとメモを手渡される。
「オレの連絡先だ。着替えたら登録しておけ。診断書を書いてやるからそれを持って今から警察に連れていく。」
「え、あ…い、いま、から?」
「何があっても守ってやる。だからオレに任せておけ。いいな?」
本当は誰かに相談したかった。逃げ出したかった。この世界でひとりぼっちのように感じた。
"守ってやる"と言ってくれたローは昔と少しも変わらない瞳をしていた。
「ご、ごめ…」
「何に対して謝ってるんだ。当然のことをしているだけだ。それに警察に行かないとしても、その男のところにいって一発ぶん殴ってやりたいくらいだ」
「…や、そ、それは…!」
「…分かってる。お前に不利にならないようにやってやるから。もう二度と誰にもお前を傷つけさせるようなことはしない。約束する。」
心から溢れ出すそれは何と名前をつけようか。
人生は帳尻合わせ。良いこともあれば悪いこともある。
悲しみの先を照らしてくれたロー。
いつもは悲しみで渦巻いて苦しいのに、今日は久しぶりに嬉しくて胸がいっぱいだった。
その後すぐにローは警察に連れて行ってくれて主治医として診断書も提出してくれた。
籍が入ってる現状だと私が不利になるからと離婚が成立するまではマンスリーマンションを借りることにしたが、この世界で自分などいてもいなくても変わらないなどと思っていた自分はもういない。
愛されたいと願った私ももういない。
半年後、マンションに迎えに来てくれた彼が誰よりも愛してくれているから。